出生前診断の羊水検査とは?
羊水検査を受ける前に考えておきたいことは?
普通の健診で行っている超音波検査も、胎児発育、胎盤の位置などだけでなく、見ようとしなくても、明らかな形態的異常はわかってしまうので、もし、異常があっても、知りたくないという方は、あらかじめ医師と相談してください。
■羊水検査・目次
羊水検査でわかること・受けられる時期・リスク・費用
羊水検査を受けようどうかと考える時は、夫婦で新しい命について話し合ってみよう
羊水検査は羊水を採取し、羊水内の赤ちゃんの細胞を培養して染色体を分析し、主としてダウン症候群や18トリソミーなどの染色体異常がないかを調べる検査です。
- 受けられる時期
妊娠15~18週頃 - 検査方法
超音波検査で赤ちゃんの位置を確認しながら、お腹の上から長い針を刺 して 子宮内から羊水を20mlほど採取します(羊水穿刺)。通常は15分程度の短時間で済み、2~3時間様子を見て特に破水などの異常がなければ帰宅できます。
- わかること
ダウン症候群、18トリソミーなど染色体の異常疾患 - 検査判明期間
約2週間 - 合併症
子宮内感染、破水、出血、流産などのリスクがあり、300回に1回程度で流産ないし、死産になるといわれています。 - 費用
保険対象外のため自費(一般的に10~15万円前後)夫の同意が必要
羊水検査は気軽に受ける検査ではない
高齢になるにしたがって、ダウン症候群の赤ちゃんの出生率が高くなることから、35才以上だと羊水検査で赤ちゃんを調べると思っている方もいます。しかし、羊水検査は病院や医師が薦めて行う検査ではありません。希望をすれば誰でも受けられますが、ある意味、子どもを選択するという非常にセンシティブな問題を含んでいる検査だからです。妊娠18週頃までに検査を行うのは、2週間後の結果で異常が見つかり、仮に子どもをあきらめる選択をした場合、中絶できるのは日本では妊娠22週未満という背景からです。
現在の日本では、出生前診断は受けないが基本となっています。「他の人はどうしていますか?」と、聞かれることもあります。妊娠してから病院や雑誌、ネットなどで出生前診断の情報を知り迷ってしまっている人に多いのですが、この検査は皆が受けるから受ける、逆に皆が受けないから受けないという検査ではありません。
羊水検査の場合、上の子どもや親せき、兄弟が染色体異常だったなどの理由で20代で受ける人がいれば、40過ぎで受けない方も多いのです。
出生前診断と新しい命について夫婦で話し合ってみよう
羊水検査で異常がなくても、遺伝子異常などの可能性は残ります。また、異常イコール中絶でもありません。その異常を知った上で赤ちゃんを受け入れるというカップルもいます。検査を受けようどうかと考える時は、赤ちゃんに異常が見つかった時はどうするのかなど、あらゆる可能性について、夫婦で話し合ったうえで、決めることが大切でしょう。受ける、受けないにかかわらず、お互いの考えや思いを話し合うことで、新しい命をどのように受け入れて育ててゆくのか、お互いの理解を深めあうよいきっかけになることでしょう。今の生きにくい閉塞的な社会の影響もあるのでしょうが、できる検査があればすべて受けておきたいという方もいるでしょう。ただ、それですべてがわかるわけではありませんし、検査を受ければ受けるほど、不安を増すという場合も見られ、あまりおすすめはできません。
もし、あなたのお母さんがあなたを身籠っていた時、羊水検査を受けた、あるいは受けるかどうかを迷っていたと聞いたら、あなたはどう思うでしょう? 羊水検査は、赤ちゃんに異常がないかを知りたいと何となく受ける検査ではないのだと思います。