年金

年金以外のセイフティネットって何があるの?(3ページ目)

日本の社会保障制度には公的年金以外にもいろいろあります。ただし、加入する制度・利用できる制度は、公的年金と同様、おもにその人の職業で決まっています。会社員とフリーランス・自営業者が利用できる、年金以外の社会保障制度にはどんな違いがあるのか、比較していきます。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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会社員とフリーランス・自営業者の介護保険制度の比較

介護に関するセイフティネットは?

介護に関するセイフティネットは?

介護保険制度は市区町村が運営する制度なので、医療保険のように会社員とフリーランス・自営業の給付内容が異なることはありません(介護保険の給付は65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の第2号被保険者で内容が異なります)が、保険料の負担方法は異なります。65歳以上の介護保険の第1号被保険者は市区町村ごとに条例で定めた保険料を納付しますが、40歳以上65歳未満の第2号被保険者は加入する医療保険の保険料と一緒に納付するしくみになっています。このため、健康保険に加入する会社員は、組合健保に加入する人は健康保険組合ごとに定められた保険料率による保険料、協会けんぽに加入する人は1.19%の料率で計算した保険料を、健康保険の保険料と同様に会社と折半で負担します。

国民健康保険に加入するフリーランス・自営業者は、介護保険の保険料も国民健康保険の保険料と同様に市区町村ごとの条例で計算方法が決まっています。収入や資産の額などに一定率を乗じる部分と加入者1人当たり定額の保険料を合算して納付します。
 

その他の社会保障制度に違いは?

年金・医療・介護の分野以外で、会社員とフリーランス・自営業者で異なるしくみが適用される社会保障制度は「失業」に対するものです。会社員には失業に対するセーフティネットとして雇用保険があります。現在の雇用保険は失業だけでなく、以下のような給付も合わせて行う制度になっています。
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現在の雇用保険は、失業者に対する給付だけでなく、雇用の維持や安定を目的とした給付も行いますが、リーマンショック以降利用者が増えているのは失業者を救済する求職者給付です。厚生労働省の発表によると、平成21年度の求職者給付の給付総額は前年度に比べて約60%という高い伸び率になっています。失業率が5%前後で推移している現状では、雇用保険が会社員のセーフティネットとして機能していることが統計からも推測されます。

ご案内した通り、フリーランスや自営業者には、社会保障制度による病気やけがにより仕事ができない間の所得保障や、失業に対するセーフティネットがありません。「もしも…」の場合に備えて、自分で何らかの対策をとっておくことが必要になるでしょう。さらに、老後についても同様で、フリーランスや自営業者の公的年金は国民年金のみで上乗せの年金がありません。長生きリスクに備えて、国民年金基金など、早めに老後資金の準備を検討するとよいでしょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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