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江ノ電全駅ガイド・鎌倉市内編(3ページ目)

江ノ電が全線開通したのは明治43年(1910年)11月。ちょうど100年前のことになります。当時39駅あった駅は現在15駅。地元に愛される路面電車各駅の街の様子、住宅事情を見て行きましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド


由比ヶ浜:海側、山側ともに
かつての別荘地の面影を残すエリア

鎌倉文学館へはこの駅が最寄りになるため、比較的乗降客数が多い

鎌倉文学館へはこの駅が最寄りになるため、比較的乗降客数が多い

和田塚の次の駅が由比ヶ浜。ここには海水浴場もあり、海と道1本隔てたところには鎌倉海浜公園もあります。周辺の海沿いの住宅は当然ながらリゾート仕様。古くから別荘地とされてきた場所で、ごくたまに見かけるマンションも高額物件です。

 

海一望のマンションも多数。目の前を走るのは国道134号。夏場には渋滞もしばしば

海一望のマンションも多数。目の前を走るのは国道134号。夏場には渋滞もしばしば

ただ、不景気のせいでしょうか、空き家になっている豪邸、売りに出ている海沿いの土地などもありました。また、海岸沿いには新しく建てられたリゾートマンションも。鎌倉は市域のかなりの部分が歴史的風土保存地区、風致地区、近隣緑地保存区に指定されており、住宅、マンション建設にはいろいろな規制がありますが、鎌倉駅周辺、JR線沿線、江ノ電の長谷までの沿線にはそうした指定がない地域が集中しているため、他の地域に比べると比較的新しい建物が建てやすいのです。

 


現在は鎌倉市長谷子ども会館として使われている旧諸戸邸。明治41年に建てられ、バルコニーの柱にはギリシャ建築の様式が取り入れられている

現在は鎌倉市長谷子ども会館として使われている旧諸戸邸。明治41年に建てられ、バルコニーの柱にはギリシャ建築の様式が取り入れられている

由比ガ浜から長谷にかけては海沿いだけでなく、山沿いの高台も別荘地とされてきたところです。そのため、このエリアには鎌倉市が市の景観重要建築物に指定している建物も多くあり、お屋敷ウォッチングには最適の場所。有名なところではかつての加賀前田家の別荘だった鎌倉文学館がありますし、子ども会館として開放されている旧諸戸邸、住宅街の中でひときわ目だつ加賀谷邸など枚挙に暇がないとも言えるほど。

 


住宅街の中でひときわ目を惹いた洋館。市の景観重要建築物に指定されている個人宅だ

住宅街の中でひときわ目を惹いた洋館。市の景観重要建築物に指定されている個人宅だ

当然、現在建てられている建物も当時よりは分割された場所があるにせよ、大きな区画に建てられており、作りも見事。かなりの予算がなければ住めそうにありません。特に由比ガ浜大通りの山側、笹目町辺りでは土地価格が3.3平米あたりで200万円を越える場所もあります。ただし、取引例は少ないようです。

 

一戸建て中心、高い建物が少ない由比ガ浜~長谷の住宅街

一戸建て中心、高い建物が少ない由比ガ浜~長谷の住宅街

賃貸はリゾートエリアということもあり、広め、古めの物件が目につきます。賃料は鎌倉周辺とさほど変わらない例が多いようです。

 

お隣は観光地が集中する長谷駅です。

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