モデルルーム見学/モデルルーム見学のコツ【模型編】

一度の見学ですべてが分かる2.モデルルームチェック法(4ページ目)

現地に行ったら見るべきものは、街の様子、モデルルーム、販売担当者の3点です。一度の見学ですべてが分かるシリーズ第2回目は、モデルルームのチェック方法です。コーディネートされた部屋に目がいき、モデルルームに置いてある模型は素通りしてしまいがちですが、実は模型で多くの情報を得ることができるのです。

大久保 恭子

執筆者:大久保 恭子

これからの家族と住まいガイド

大規模マンションならではの共有施設のチェックポイント

大規模マンションには豪華な共有施設付きのものも見られます。未完成の場合、はたしてどんな施設に利用価値があるのか、今ひとつピンとこないものです。そこで、マンション評価ナビの評価者である一級建築士からのアドバイスです。

「最近、居住済みの大規模マンションを数棟見学する機会がありました。そこで見た共用施設についてご報告します。

エントランスロビー
マンションの顔であるだけに様々なデザイン、仕掛けが工夫されています。水をあしらったもの、広いスペースにゆったりと高級椅子が何脚も配置されているもの。そこは一寸した接客スペースとなっており、部屋まで上げる必要のない来客との話の場として利用されます。しかし、何組もの豪華応接セットが置いてある割には利用しているのは極少ない人数でした。水の仕掛けが故障して工事を待っている状態のところもありました。私が一番気持ち良く落ち着いたのは、ヒューマンスケールで2組の応接セットが置かれたMマンションのロビー。広くもなく、きらびやかな飾りはありませんが清潔なロビーからこれも手入れの行きとどいた緑豊かな庭が眺められる、上品なスペースでした。

スカイラウンジ
タワーマンションの上階に設けられたラウンジです。とても眺めが良い位置に配置され、ソファーなどが置かれています。しかし、いくつもの場所を見ましたが利用者が居たのは2か所のみ。時間帯にもよるのでしょうが、話を聞いても「あまり利用する方は居ませんね」との答えがほとんどでした。特定の日、花火大会の日などはとても人気のようですが、普段はまず使われないそうです。タワーマンションに住む知人も「お客が来ると一応見せに行くけれど、ただ見るだけで利用はしない。わざわざエレベーターに乗って行くと思う?」とのこと。マンションによっては「飲食禁止」の貼り紙もありました。ラウンジはくつろぐためのもの、くつろげばコーヒーの一杯も飲みたくなるのですが、たぶんマナーの悪い利用者が居たのでしょう。一方、夜一定時間にバーが開店するところもあり、ここは利用者が多いようです。

ゲストルーム
安いところではリネン代のみ、一般的にはビジネスホテル程度の価格で宿泊することが出来ます。親戚、友人の宿泊に利用されますが、週末や年末年始など特別な日の利用希望者が重なり、だいぶ前から予約が必要のようです。しかし、一般平日は空いていることが多いようです。

パーティールーム
これも花火大会や新学期、年末などの特別な期間の利用は多いですが、一般平日の利用は少ないとのこと。

ジム、フィットネス
私が見たなかで一番利用者が多かった施設です。昼間はシニアの方や主婦が、夜は仕事から帰った方が汗を流していました。トレーナーを着てタオルを持ち気軽に運動に出かけ、そのまま部屋に帰ってシャワーを浴びられる。なるほど、便利で利用者が多いのもうなずけました。ただし、別の評価者が調査したマンションのフィットネスは閑散としていたそうです。周辺にジムやフィットネスクラブが開業していたり、シングル、ディンクスなど平日は夜遅くまで仕事という居住者が多いマンションの場合は、利用者が少ないことも予想されます。

キッズルーム
あまり利用者は見かけませんでしたが、キッズルームで知り合ったお母さん同士が親しく交流をするようになる、という話も聞きました。又、廊下やロビーで子どもが遊ばなくなる効果もありそうです。いろいろな施設を見て気づいたのは、「目的のある施設は利用されやすい」ということです。ラウンジやライブラリーといった曖昧な場所は利用されづらい。入居すると物珍しさに一度は使ってみるらしいのですが、その後は利用しない。ジムやバーなどはっきりした利用目的のある施設は盛況です。又、ファミリータイプの多いマンションはマンション内で長時間を過ごす人が多いので、当然施設の利用者も多くなります。

大規模マンションではこれらの共用施設を「売り」にしている所が多くあります。別に利用する人が少なくてもかまわないじゃないか、と考える方もあるかもしれません。でも、住戸の販売価格にはその誰も利用しない施設の価格も含まれています。又月々の管理費も使われているわけです。

“豪華な施設があるから、何となくいい感じ”という視点ではなく、“本当に自分が利用する施設なのか”を自分の生活パターンから想像してみる必要があるでしょう。又、せっかくの施設が充分機能するような利用規約が大切だと思いました。」


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