株式戦略マル秘レポート/西村剛の「統計で勝つトレード」

信用取引はなぜ怖く感じるのか?(3ページ目)

信用取引とは保有する株式や現金を担保にお金を借り株式を購入する取引です。初心者の方は信用取引と聞くと「怖い」、「リスクが大きい」と感じる方も多いと思います。そこで今回は現物取引と信用取引で、どれほどリスクやリターンに差が出るかについて統計的に分析してみました。

西村 剛

執筆者:西村 剛

株式ガイド

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信用取引を使いレバレッジ2倍で運用した場合の検証結果

レバレッジ2倍の場合

レバレッジ2倍の場合


勝率: 35.70 %
勝ち数: 749 回
負け数: 1,349 回
引き分け数: 0 回

平均損益(円): 3,852 円  平均損益(率): 3.36 %
平均利益(円): 42,609 円  平均利益(率): 30.26 %
平均損失(円): -17,668 円  平均損失(率): -11.57 %

合計損益(円): 8,080,779 円  
合計利益(円): 31,914,306 円  
合計損失(円): -23,833,527 円  

最大連勝回数: 41 回
最大連敗回数: 37 回
最大ドローダウン(簿価ベース): 4,520,938 円(1998/11/26)
最大ドローダウン(時価ベース): 5,646,158 円(1998/10/15)
PF: 1.339
平均保持日数(イグジット済み銘柄のみ): 77.42 日

現物取引の場合と売買ルールそのものは全く同じですので、上記の資産曲線の傾きや勝率、平均保持日数など、ほとんどの検証結果は同じです。ただ先ほどの現物取引と今回の信用取引の検証結果で大きく異なる点があります。
上記の信用取引を使って運用した場合の資産曲線をよくご覧ください。線で囲っている部分では運用資産がマイナスになっています。

この売買ルールで1990年に300万円、レバレッジ2倍で運用した場合、運用資産は98年10月にマイナス156万円(元金300万円がゼロに加えさらに156万円のマイナス)まで減少した結果になります。仮にこの売買ルールに従って、マイナス時点からさらに資金を追加しその後も運用を続けていれば06年1月には約1100万円にまで運用資産は増えたことになりますが、実際に元金を失って、さらに資金を追加し同じ売買ルールで運用し続けるのは難しいでしょう。信用取引が怖いと言われている理由はまさしくこの“一度の失敗でその後のトレードが継続できなくなるリスク”にあります。 トレーダーにとってトレードが出来なくなるリスクが何よりも怖いのです。


トレードでは継続することが大切!

現物取引と信用取引とで大きく異なる点とは、一見成績が同じで、有効に見える売買ルールで運用した場合でも信用取引の使い方によっては破産してしまう可能性があるということです。

どんなに有効な売買ルールを使ってトレードしても、運用成績が低迷する時期は必ずあるでしょう。ただ有効な売買ルールで運用さえしていれば、一時的に成績が低迷しても 現物取引の場合には資金は減少するものの継続してトレードは出来ますが、信用取引を使いレバレッジを2倍で運用した場合、最悪元手がゼロになり、その上マイナスになってしまうこともあります。その結果追加の証拠金を払うことが出来ずに、その後のトレード自体を中断せざるを得なくなります。

今回はあえて検証結果を良くするため、上昇相場だった2006年1月までで検証を行いました。例えどんなに上昇相場でも、どんなに良い売買ルールでも長期間に渡って運用を行なえば必ず運用成績が低迷する時期はあります。そのような場合でも有効な売買ルールで破産しないよう、適切に信用取引を使いトレードを続けていけば、やがては時間の経過とともに成績も安定し利益を増やすことが出来るでしょう。トレードでも「継続は力なり」と言えるのではないでしょうか。

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(このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社及び関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします。)
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