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【書評】~『47都道府県これマジ!?条例集』

市区町村にはいろいろな条例があります。一般的なものもあれば、首を傾げるようなもの迄。変わった条例であればあるほど、なぜそのような条例があるのか?を考える事により行政の思いや文化を伺い知る事ができます。今回の本は「おもしろネタ本」ですが、街選びにも役立つかもしれませんよ。

田中 和彦

執筆者:田中 和彦

住みやすい街選び(関西)ガイド

市区町村には多くの条例があり、その中には地元色(?)豊かなものも数多く存在します。「47都道府県これマジ!?条例集」は、数ある条例の中から選りすぐりの「おもしろ条例」をピックアップした本。「本当に役所の会議や、議会の討論でこの条例が討論されていたのか?」と想像するだけで笑えてしまうものが多く紹介されています。そのうちのいくつかをご紹介します。

愛する地球のために約束する!~滋賀県草津市

滋賀県でのナイスな条例は「愛する地球のために約束する草津市条例」。正義のヒーローが口にしそうな言葉がそのまま条例になっています。草津市、格好良すぎます。とはいえこの条例、たんなる受け狙いではなく(当たり前ですが)、地球温暖化防止を実現するべく京都議定書にあわせて制定された条例。ほかにも「熱中症の予防に関する条例」を「危機管理課」が運用する等、「市の本気度の高さがうかがえます」。

滋賀県の他の事例としては「うつくしいひこね創造条例」も紹介されています。「美しい行為」をすると「ひこにゃん」の描かれた地域通貨「彦(げん)」がもらえるかも、ですよ。

私有地の雑草も許さない!~大阪府松原市

以前程その名前を耳にする事も少なくなった「セイタカアワダチソウ」。花粉症のひとには名前も聞きたくない「ブタクサ」。大阪府松原市では、このような背の高い外来植物「キリン草」の生え放題を許さない「空地のキリン草等の除去に関する条例」があります。たとえそれが私有地であっても「市が指導・勧告したにもかかわらず、なおも雑草を放ったらかしにした場合は、空き地の所有者に最高2万円の罰金が科されます」。

制定の日付をみると昭和49年、と相当古い時代の条例。当時このような条例を制定したというのは、かなり対応のはやい行政区であったのではないかと思われます。

また、東大阪市の「子どもを虐待から守る条例」も、行政が積極的に対策を講じたいい例と言えます。

イノシシに気をつけろ!~兵庫県神戸市

おしゃれなイメージの神戸にイノシシって似合わない、きっと山奥の話では?と思われそうですが、山間部に限らず、阪急沿線を中心とした神戸市の市街地にイノシシが出没する事は全く珍しい事ではありません。というわけでイノシシ被害を防ぐため制定されたのが「いのししの出没及びいのししからの危害の防止に関する条例」。イノシシの餌付け等が禁止されてます。可愛いからといっておやつをあげるのは厳禁です。

ところで皆様のご自宅の敷地は何平方メートルですか?芦屋市ある通称「豪邸条例」(正式名は「地区計画の区域内における建築物の制限等に関する条例」)は豪邸街のイメージを守る条例。指定区域では400平方メートル以上の一戸建てしか新規建築が認められません。100坪の敷地では豪邸街の雰囲気が壊れる、という判断ですね。それ以外にも芦屋市では、新規に建物を建築する際の取り決めが、詳細に決められています。


近畿地方ばかりを紹介しましたが、もちろん他の地方の条例も紹介されています。「謙信公アカデミー条例(新潟県上越市)」「人生トライアスロン金メダル基金条例(福岡県大牟田市)」などは内容を知りたくなりますし、「子どもたちのポケットに夢がいっぱい、そんな笑顔を忘れない古都人吉応援団条例(熊本県人吉市)」にいたっては内容は条例名でわかってしまいます。

街選びに役立てるもよし、街選びに疲れた際の暇つぶしに読むのもよし、そんな一冊です。

47都道府県これマジ!?条例集
著者:長嶺超輝
出版社:幻冬社新書

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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