ほめて育てると子どもはさらに伸びる
ほめられると誰だってうれしい
シドニー五輪金メダリストの高橋尚子選手は、当時女子で世界初の2時間20分の壁を破る世界最高記録を樹立し、優勝を飾りました。高橋選手は見事に実力を発揮し、さわやかな笑顔で2つの勝利を勝ち取ったのです。
彼女を勝利へと導いた小出監督は、常に彼女をほめていました。「ほめて育てる」。これが小出流の育て方です。あの勝利は、「お前はロードに向いている。マラソンなら世界一になれる」と毎日のように言い続けた結果なのです。
ほめることが、このように効果を生み出すことは医学的にも示されています。「ほめられることによって、脳からやる気を出すホルモンが分泌され、積極性や活力を生み出した結果だと思われる。」(出村 博 教授/東京女子医科大学・医学博士)
子育ても同じことです。良いところを認められ、ほめられると子どもはさらに努力し、その子の良いところがどんどん伸びていきます。そして、何か一つが伸びてくると、それが自信となり、他のことにも良い影響を及ぼします。
悪いところを注意するのではなく、良いところを伸ばすことにより、悪いところも良い方向にもっていくことができるのです。ですから、最低でも、1日1回は子どもをほめましょう。
ほめ方とタイミングが大事
しかし、ほめ方には工夫が必要です。心をこめずに見え透いた内容でほめることは、かえって不信感を抱かせます。子どもをよく見ていて、心をこめてタイミングよくほめることです。
他の子どもと比較したり、結果のみをほめるのではなく、プロセスや努力をほめるのです。さらに、言葉だけでほめるのではなく、抱きしめるか、手を握るなどして、一緒に感動しましょう。同じように喜んだり、悲しんだりしてくれる親に子どもは安心します。
また、時には、言葉かけではなく、手紙で、ほめることも効果的です。
「きのう、おかあさんが忙しかったとき、おかあさんの代わりにお洗濯物をたたんでくれてありがとう。お陰で、おかあさんは、ほかのお仕事ができたし、お部屋も片付いたので、うれしかったです。おかあさんより」
などと書いて、勉強机の上に置いておきましょう。おかあさんからの感謝の気持ちは、ことばで表す以上に、子どもの心に一層深く刻み込まれることでしょう。
子どもは、ほめられることにより、自分が親から信頼されていて、大切な存在であると感じます。親子の信頼感や子どもの心の安定のためにも上手にほめることはとても大切なことです。