少子高齢化が叫ばれて久しいですが、それでも「夫婦+子ども」世帯をメインに住宅が考えられてきたのは、日本の全世帯を見渡したとき、「夫婦+子ども」世帯が最も多いという事実があったからです。しかし、想像以上のスピードで実態は変化しているようなのです。
先日参加した記者懇談会で配られた国立社会保障・人口問題研究所の資料を見てびっくりしました。2010年、つまり現時点で、一番割合が大きいのは「単独」世帯なのです。
●「単独」世帯
2005年29.5% 2010年31.2% 2030年37.4%
●「夫婦+子」世帯
2005年29.9% 2010年27.9% 2030年21.9%
●「ひとり親+子」世帯
2005年 8.4% 2010年 9.0% 2030年10.3%%
●「夫婦のみ」世帯
2005年19.6% 2010年20.1% 2030年19.2%
国立社会保障・人口問題研究所では、日本や世界主要国の人口や世帯数などについていろいろな角度から統計をとっています。上の数字は「家族類型別一般世帯数の将来推計:2005~2030年」のデータの一部です。
2005年の時点では、確かに「夫婦+子」の世帯の29.9%が一番多いですね。でも、「単独」世帯の29.5%と比べると、差はごくわずか。さらに、2030年になると、子どものいる世帯(「夫婦+子」21.9%や、「ひとり親+子」10.3%)や、「夫婦のみ」の世帯19.2%よりも、「単独」世帯37.4%のほうがずっと多くなると予想されます。
日本の典型的な家族の形は、夫婦と子どものいる家庭ではなくなっているのです
しかし、日本全体の家族構成が変化してきていることは事実。しかも、子どものいる世帯でも10年もすると、子どもの成長にともなって生活スタイルが変わるでしょう。ということは、これからは子どものいる世帯向けとか、単独世帯向けといった家族構成をもとにプランを考えていくというのではなく、どんな家族構成になっても対応できる可変性の高い家を考えていくというアプローチへの転換が必要なのではないでしょうか。