甲府市の「BEAM」。4人家族のこのお宅には寝室が1つしかない!
→「BEAM」紹介記事第1弾はこちら。
→「BEAM」紹介記事第2弾はこちら。
4人家族で寝室が一つだけ?
「BEAM」の設計を進めていたときの、建主のAさんの要望の中で、私たちも驚いたものがあります。それは、「家族4人が一部屋に寝るので、寝室は一つでいい。」というもの。「夫婦だけで話したいこともあるかもしれないし、本当に良いのですか?」と、聞いてみたのですが、「細長い寝室を一つ作ってくれれば、後は適当に家具で仕切るから・・」と、Aさんに迷いはありません。
そうは言っても子供達が大きくなり、受験を迎えるような歳になれば、やはり個室が欲しくなるかも。Aさんの希望を叶えつつ、将来は柔軟に対応できるようにと、私たちが提案したのが「L型につながったワンルーム寝室」でした。
こちらが家族の寝室。手前にもう1台ベッドがあります。間仕切ったときのことを考えて、カーテンレールやスポット照明を設置してあります。
寝室には、あらかじめ間仕切り用のカーテンレールを取り付けてあります。このカーテンを引いてしまえば、部屋の一部が廊下のようになり、「2寝室+廊下」のようになります。初めは皆で仲良く布団を並べて眠り、将来はオーソドックスに「主寝室と、家具で間仕切りした子供室」という風にも使える、というわけです。
それ以外にも、将来の使い方の変化に備えて、天井に照明器具用の配線ダクトを設け、スポットライトを自由な位置に付けられるような工夫もしています。さらに、先に寝ている家族がいるのに部屋全体の明かりが点いては具合が悪いので、スポットライトは、個別にオンオフできるリモコン受信機付きのものを選択。一部分だけしか空調が利かなくなっては困るので、エアコンの位置にも気を配りました。
さて、今回お邪魔したときはどんな使い方をされていたでしょうか?設計した私たち自身が興味津々です。
家族皆で決めた「ルール」が肝心!
こちらが4台めのベッドと、家族みんなで使うラウンジのようなコーナー。
実際に使ってみて、不都合はなかったかどうかを聞いてみました。
「寝室も含めて、現在はこの家に『自分だけの場所』というものがありません。だから、子供達にも使ったものはきちんと元に戻させています。良くも悪くも、家族皆で決めたルールを守らないと、上手に住めないですね。」とAさん。「ちょっと理想を追求し過ぎたかも」と笑っていましたが、互いのコミュニケーション豊富なAさん一家は、とても仲良しなのだそうです。奥様のクレープ屋さんも、忙しいときには家族全員で手伝っているのだとか。
「子供達も大きくなってきたし、そろそろ寝室の使い方を変えて、子供たちに『個室コーナー』を作ってあげようかな」とAさん。あらかじめ間仕切り壁で部屋が分かれていない「BEAM」は、家族とともに「成長する家」になっていました。
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