ショールーム

ルイスポールセンの代表作から最新作まで見られるショールーム

オール電化住宅だけでなく、全ての住宅に欠かせない「照明」。住宅の省エネルギー化が必要な現在、私たちにとって大切なことは、ただ省エネ電球をたくさん使って明るさを求めることではなく、必要かつ充分な「質の良い光」を追求し、省エネルギーと「心地よさ」を両立することだと思います。

1920年代に誕生し、現在も販売され続けている「PHランプ」は、手元の明るさだけでなく、上面にも柔らかい光を拡げ、眩しさ(グレア)のない照明器具です。世界に先駆けて誕生した、この「人にとって快適な照明」は、今なお私たちに多くのことを教えてくれます。
今回は、ポール・ヘニングセンがデザインした伝説的な照明器具「PHランプ」について、さらに、ルイスポールセン社の器具を手がけた、もう一人の代表的デザイナー、アルネ・ヤコブセンについて、詳しくご紹介していきましょう。

PHランプの仕組みとは?

PHランプ

照明コンサルタント・高橋亜須未さん

ポール・ヘニングセンが、「照明器具は、絶対に眩しさがあってはいけない。」という考えのもと、1925年に開発したのが彼自身のイニシャルを名前に持つ「PHランプ」。その特徴は、お皿を伏せたような形の3~5種類の傘(シェード)を巧みに組み合わた、独特の断面形状にあります。
その仕組みについて、タルジェッティ・ポールセン・ジャパンの照明コンサルタント、高橋亜須未さんが、モデルを使って説明してくれました。

「PHランプのデザインを構成するシェードは、器具の中央に位置する電球から四方に広がる光が、それぞれのシェードのちょうど先端まで届くよう、角度や大きさがデザインされています。」
と、高橋さん。
「電球の位置が高すぎると、外から電球が直に見えて、眩しさ(グレア)を感じてしまいます。逆に電球の位置が低すぎると、シェードの端まで光が届かず、羽に黒い影ができてしまいます。光が当たらない影の部分は、『機能的に無駄な部分』ということ。こうしたことがないように、電球の位置やシェードの大きさは、きわめて厳密に設定されています。つまりPHランプは、全ての部分に、機能・意味があるのです。」
80年以上昔にデザインされた「PHランプ」が、今でも飽きが来ず、古くささを感じさせないのは、こんなところに秘密があるのかもしれませんね。

もちろん、このシェードの意味は、単に眩しさを防ぐだけではありません。PHランプのシェードには、「光を必要な方向に向ける」という大切な役目もあります。実際に、シェードが1枚増えるごとに、手元の明るさが増していく様子も、実物で確かめてみることができました。
このように、すべてが無駄なく論理的にできているのに、デザインがあくまで優美なことも、PHランプの特長でしょう。デザイナーのポール・ヘニングセンは、「照明器具は、光っていない時でも美しくなければならない」という、強い信念を持っていたのです。

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