経済成長を支えてきた社会基盤のひとつ「郊外ニュータウン」

とある郊外の駅を降りる。目の前にはバスやタクシー乗り場のロータリーがある。その隣に並ぶのはファーストフード店。向こう側には、ショッピングセンターの建物の入口が見える——これがニュータウンと呼ばれる駅前の、一般的な風景である。

1950年代半ばにはじまる高度経済成長期、一気に広がった郊外の住宅街は、かれこれ50年以上を経過したことになろうか。あちこちで見慣れた街並みも、今では、高齢化、過疎化が深刻な問題になっている。

ここ10年ほどに時間を短縮して見てもそれは明らかだ。まず子どもの数が劇的に減った。ショッピングセンターにお決まりのゲームコーナーは閑古鳥が鳴いているか、すでにないか、そのどちらかである。食料品売り場も少人数世帯を意識した量の商品が増えた。一人ないし二人用の惣菜や食材は、すでに都心のデパ地下だけではないのである。

ここまでは誰もが知っている話だろう。しかし、この現象をあらためてデータで突き付けられると、さらに愕然とせずにはいられない。


少子化、高齢化が最も深刻な東京圏

例えば、2000年と2030年後を比較して、65歳以降の人口が倍以上になる県が日本で3つだけある。それが埼玉、千葉、神奈川だ。埼玉、神奈川は数にして増える数が100万人以上に上る。合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の数)は逆に低く、神奈川(1.19)に至っては全国で4番目に低い(05年)。


つまり、現実に目でみてわかるほど進行している郊外の少子高齢化が、さらに劇的なスピードで加速していくわけだが、今後、当然のように人々の関心は住宅問題に集まるに違いない。

閑静な環境を誇った住宅街には、空き家が増え、減築する家が増え、空き地が増え、となるだろう。資産価値にもおのずと影響を与えるはずだ。

いま23区の近郊エリア(山の手線の外側)のマンションは好調な売れ行きを示している。中古マンションも同様で品薄とさえいわれているほど。新築の一戸建ても郊外で3,000万円台の企画ものは売れていると聞く。いずれも、その購入者のボリュームゾーンは30代である。

物件の種別ごとの人気不人気は、もちろん需要側の好みの問題でもあるわけだ。が、熟成した郊外の住宅街の良さが伝わっていない、伝えるメディアが少ない、というアンバランスなPR効果にある種のジレンマを感じてしまうのである。省エネ、長持ち住宅優遇も重要だが、いずれ大きな社会問題となる郊外の住宅街について目を向けなければならないときが来ている。

<参考資料>
国立社会保障・人口問題研究所「日本の市区町村別将来推計人口、2003年12月推計」
厚生労働省「人口動態保健所・市区町村別統計」 都道府県の合計特殊出生率(2005年)

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