キッチンデザインのコピー問題をどう考えるか?
最近、海外からの輸入システムキッチンメーカーや、高いデザイン性をウリにしている国産キッチンメーカーが一番頭を悩ましていることが、キッチンデザインのコピー問題だ。最近は、オーダーメードキッチンという名で、ユーザーニーズに合わせたキッチンを特注仕様で制作施工する家具メーカーや工務店が非常に増えており、既製ユニットを組み合わせて販売するシステムキッチンメーカーにとっては脅威的な存在となりつつある。
こんな状況の中にあって、住宅設計を手がける建築家、デザイナー、インテリアコーディネーター、オーダーキッチンメーカーの担当者達がエンドユーザーを同伴して、ショールームに来店して、レイアウトやディテー ルの写真を撮り、細かいところまで採寸し、驚いたことには扉のサンプルを出させて採寸するだけでなく、持参した塗料工業会のカラーチップと合わせて色決めをし、これと同じ色と寸法と材質で造りましょうと帰っていく客が非常に多いことだ。
なんという現実だろうか!確かに輸入システムキッチンやデザイン性の高い国産キッチンの価格設定は一般的なキッチンに比較すると高い。しかし、同じものがウチで造れば安くなりますと言って、客を連れて来ると言うことが許されて良いものだろうか?
中国企業がコピー商品づくりに励むことを蔑みながら、自分たちも同じことをやっていることに気づかないとすれば、これは大きな問題だ。
こんなやり方を許すエンドユーザーもあまりにも見識が低い。最近いろいろな業界からオーダーキッチンという世界に参入する企業が増え続けているが、こんなやり方が許されて良い訳が無い。
キッチンデザインで一番大切なことは、ユーザーの体型とライフスタイルに合わせたオリジナルの空間デザイン提案をすることであり、水の仕舞や火の仕舞をなおざりにした格好だけのデザインはあってはならないことだ。
キッチン業界の地位向上のためにも、眞のユーザーニーズを汲み上げて提供していくためにも、オリジナルデザインというものへの敬意と尊重を基本とし、絶対にコピーをしないというオーダーキッチンを造る方々の襟を正した行動が求められる時代が来ていると思う。
©June.2010 Copyright HIDEWO KURODA KITCHEN SYSTEM LABO.INC.