東京は私学の一大集中エリア
東京都は私立学校が集中しており、私学志向の高いエリア。現在全国の私立中学校は766校、うち東京都は188校で全国第1位。2位は大阪で65校、3位は神奈川で64校となっています。(千葉は24校、埼玉は25校)。(以上2012年度文部科学省「学校基本調査」)2012年の首都圏中学受験者は11年度よりわずかに減少し、約50,000人でした。過去毎年受験者数が増え続け、07年に5万人を超えたところでほぼ横ばい状態。世の中の不況にもかかわらず、変動はみられません。11年からの減少分は、首都圏小学校卒業生数の減少の反映と考えられます。(11年は約307,000人→12年は約2,000人減)。少子化が進むなか、首都圏の小6児童数約30万人は大きく変化しておらず、毎年17%を超える児童が中学受験に臨んでいます。
気になるのは、景気の動向です。先行き不透明なか、私立学校のほうも入学手続き時に延納ができる、また入学辞退者に納入金の一部を返還するなどの対応をとったり、授業料を月納できるようにしたり、特待生制度を拡充したりと、いろいろな手を打っています。受験生もそうした動向を見て、志望校や併願校を模索しているようです。
日本の長期的な展望が見えにくい時代からこそ、わが子の教育に投資したいという家庭も少なくないはず。首都圏中学受験者が5万人を超える現在、私学集中エリアの東京では、人気校を中心に今後も狭き門であることに変わりないでしょう。
また東京都の公立中高一貫校ができたことで、学校選びの幅が広がっています。現在11校。倍率も少しずつ落ち着いてきたとはいえ、5倍~8倍といった高倍率です。こちらも国立8校と並んで今後も激しい競争が続きそうです。
2013年度の入試動向と今後
まず12年度入試をふり返ると、11年3月の東日本大震災後の入試となり、志望校選びにも影響を与えました。災害時に帰宅困難になることを避け、できるだけ安全に早く帰宅できるようにと、受験生の地元志向を強めたようです。特に女子にその傾向がみられるのは当然といえるでしょう。今後も志望校選びの条件として、自宅からの距離や交通機関を重視することが考えられます。全体の入試日程の状況として、近年では午後入試が偏差値中堅校を中心に広まっています。学校が志願者確保のために実施するようになったもので、難関校の試験が集中する2月1日だけでなく、同じく人気校の入試が多い2日も、午後入試を行う学校が急速に増えています。さらに、同日に午前・午後と2回行う学校も少なくない状況です。
13年度入試で、2月1日または2日、あるいは両日とも午後入試を行う学校は、東京都市大学付属中学校(男子校)、東京農大第一高等学校中等部、東京成徳大学、東京都市大学等々力、國學院久我山(以上共学)など。
2月1日または2日、あるいは両日とも、午前・午後2回行う学校は、京華、聖学院、安田学園(以上男子)、大妻中野、川村、北豊島、共立女子第二(以上女子)、聖徳学園、青陵、駿台学園、玉川学園、広尾学園、明星学園、帝京八王子(以上共学)など。
こうした午後入試により、午前—午後と同日併願が可能になりましたが、試験は体力・精神力ともに消耗するもの。併願対策は志望優先順位をよく考えておいてください。
なお、国立中学・公立中高一貫校(一般枠)は例年2月3日のみとなっていて、国立中学・公立中高一貫校(一般枠)同士の併願はできないシステムになっています。
13年度入試で気をつけておきたいのは、2月3日が日曜日に当たり、入試日を移動させるミッション系の学校があること。いわゆる「サンデーショック」と同じような現象が起きます。ちなみにサンデーショックとは神奈川・東京の入学試験の解禁日2月1日が日曜日に当った年に、キリスト教系女子校に起こる現象を指し、日曜礼拝を推奨するプロテスタント校の多くが入試日を移動させます。これに合わせて戦略的に入試日を移動する学校も出てくるわけです。
13年度は従来3日に入試を行っていたキリスト教系女子校は、入試日を移動させます。都内では東洋英和女学院B入試が2月4日に移動。玉川聖学院は2日午後に。神奈川では横浜共立学園B入試も2月4日に。こうした動きによって、女子校を中心として4日実施の学校の志願状況に影響が出るでしょう。志望校や併願校選びのさい、この点に留意する必要があります。