海外旅行の準備・最新情報/海外旅行準備

海外旅行はツアーか個人か 違いを比較してみた

海外旅行はツアーや個人旅行など行き方は様々。安さやテーマ性を磨くパッケージツアーと自由度が高くプライバシーが保てる個人旅行。それぞれの良さや注意点などにふれつつ、違いをまとめました。

千葉 千枝子

執筆者:千葉 千枝子

旅行ガイド

海外旅行はどっち? ツアーと個人旅行

海外旅行はパッケージツアーと個人旅行、どっちを選ぶ?

海外旅行はパッケージツアーと個人旅行、どっちを選ぶ?

近ごろ増えているのが海外個人旅行。パッケージツアーを卒業したひとたちを中心に、少人数でいく個人旅行に人気が集まります。しかし個人での予約手配には、おもわぬ落とし穴も。安さやテーマ性を磨くパッケージツアーと、自由度が高くプライバシーが保てる個人旅行。その違いをまとめました。
   

海外旅行ツアーとは

海外旅行のツアーには、さまざまな形態がありますが、大きく二つに分けることができます。一つは手配旅行。オーガナイザーと呼ばれる幹事役が、旅行会社と相談しながらコースなどを決定するものでグループツアーとも呼ばれます。会社の職場旅行や視察旅行、報奨旅行などがあります。

もう一つは企画旅行です。一般にパッケージツアーと呼ばれるもので、正式には「募集型企画旅行」という名称。旅行会社が旅行の計画を立て、内容を組み立て、料金を決定します。添乗員がつくもの、食事や移動、観光などをそろえたフルパッケージ型から、自由行動時間を多くとったフリープラン型まで、さまざまなタイプのパッケージツアーが存在します。いずれも、グループレート(団体割引料金)が適用されるので、個人で組み立てるよりもお得で効率がよい、というメリットがあります。
 

パッケージツアーとは

パッケージツアーは現地到着後ガイドさんが案内してくれるので安心感がある

パッケージツアーは現地到着後ガイドさんが案内してくれるので安心感がある

パッケージツアーを、もっと掘り下げてみましょう。旅行会社の店舗前に並ぶパンフレットや新聞広告をみてパッケージツアーを申し込むときに、「どうして、こんなに安いのかしら?」、「なぜ、一日でこれほど多くの観光地を巡れるのかしら?」と不思議におもうこともあるでしょう。パッケージツアーの商品を企画・販売・募集する旅行会社としては、交通機関や宿泊先、その他入場料がかかる観光施設を、特定の時期に大量に仕入れることから、一人あたりの代金を安く抑えるメリットが。特に人数がまとまれば、陸上での観光はチャーターバスを利用するなどして一括移動ができるため、時間の短縮にもつながるというメリットがあります。

安さや時間ばかりではありません、パッケージツアーと個人旅行が大きく違う点は、パッケージツアーには法律にもとづく補償の規定があるという点です。旅行参加中にこうむった一定の損害について補償する特別補償規定により、万一のときには主催する旅行会社が補償するしくみです。また、募集のときに約束した旅行スケジュールや景観などのいわば契約ごとを守れなかった場合の旅程保証というしくみもあります。あらかじめ約束した旅程を守れなかった場合、所定のルールで算出した変更補償金を、旅行会社が参加者に対して支払わなくてはなりません。このようにパッケージツアーは、法律によって消費者が守られるようなしくみづくりができているのが特徴です。
 

海外個人旅行とは

旅慣れたひとに支持されるFIT(個人旅行)

旅慣れたひとに支持されるFIT(個人旅行)

自分自身で自由にエアチケットやホテルを予約・手配・決済する海外個人旅行は、フォーリン・インディペンデント・ツアーの頭文字をとってFIT(エフアイティー)とも呼ばれ、海外旅行の経験者を中心に、近年、需要が高まる旅スタイルです。

そもそも、わたしたち日本人は海外旅行自由化(1965年)から、いまだ半世紀を経ていません。ビザの関係で、海外旅行は団体に限られていた時代もありました。近ごろはインターネットの普及から、個人で海外を旅するひとが増加傾向にあります。自由度が高いのはもちろん、プライバシーを保つことができ、料金も明快な個人旅行。それをあと押しする、ネット専業の旅行エージェントも数多く出現しています。一括仕入れや手数料率の軽減など、うま味を生かし、お得な価格で旅行スケジュールを組み立てることができる利点があります。

海外個人旅行は自由な反面、パッケージツアーにみられる(旅行会社による)補償規定などは存在しませんので、(ちなみに、航空会社ではそれぞれに補償規定を設けています)、自らが保険に入るなどして自己防衛する必要があります。空港・ホテル間の送迎や現地での移動(これらをトランスポーテーションと呼びます)も、すべて自分で行います。現地での移動には、タクシーやバス、電車、レンタカーなどを利用することになるので、ある程度の地の利や、旅行会話ができると旅を一層楽しくさせることでしょう。
 

それぞれのメリット・デメリットを知って海外旅行をどうするか決めよう

パッケージツアーも個人旅行も、それぞれにメリット・デメリットがあります。たとえ旅慣れたひとでも、いずれも上手に使い分けています。どのように使い分ければよいのか、狙い目や注意点、代表的な旅スタイルをまとめました。
 

とにかく安く海外旅行をしたい

local
安く楽しめる台湾ローカル線の旅
価格訴求に徹するなら、パッケージツアーであれば新聞募集やキャンペーン募集を狙います。新聞やチラシによるメディア募集型ツアーは、高い宣伝広告費を払いながらも消費者心理に訴えるために驚くほど安い価格で商品を提供しているのが特徴で、仕入れ努力が垣間みれます。ただし、質の点で高い満足度を得るのが難しいというデメリットもあります。それらを克服するために、ツアー参加者にアンケートをとり、不満な点を細かに記入させ次回のツアーに反映させるなどの自助努力をしています。

個人旅行は、バックパッカーに代表されるように、格安航空券やローコストキャリアLCCを組み合わせ、現地ではバスや鉄道など公共機関を乗り継ぎ、安宿に泊まる旅スタイルが、もっとも安上がりで人気です。バックパッカーの歴史は古く、欧米の若者を中心にガイドブック片手に広まった旅スタイルです。国・地域によってはバックパッカー専用宿などもあり、マーケットが顕在化しています。格安航空券を取り扱う旅行会社のなかには、バックパッカーの先輩が窓口対応しているケースも。インターネット情報とリアル情報をうまく組み合わせて、自分流の旅を創造できる点に人気があります。
 

グレードの高い海外旅行をしたい

コンサートやオペラ鑑賞が目的の海外旅行

コンサートやオペラ鑑賞が目的の海外旅行

高品質・高付加価値をうたいプロの手で造られた海外旅行のパッケージツアーは、特に富裕層や経済的に余裕のある熟年層を中心に人気が高いのが特徴です。こうした高品質パッケージツアーはベテラン添乗員が同行するのが一般的で、いたれりつくせりの旅ができます。個人では特別なコネクションがなければ予約することができない世界的にも有名なコンサートやオペラなどを、旅行会社が年間契約でシートをおさえるなどして参加者に優遇します。

グレードの高い海外個人旅行をするひとの多くは、自由な時間や特別な待遇、ゆとりあるスケジュールなどに重きを置く傾向にあり、そうした価値は「価格にも勝る」と考えます。団体客は断るような格式の高いホテルやレストランを利用したり、バトラーとまではいかずとも顧客の名前を覚えてくれるような満足度の高い接遇を期待するのであれば、高品質パッケージツアーや個人旅行は功を奏します。代表的なのが豪華クルーズ客船での旅。夫婦やひとり、小人数のグループかファミリーが単位となる船旅は、高品質な個人旅行のさいたるところにあります。近ごろでは、旅行会社の社員がバトラーに近いサービスを有償で提供するケースもあります。

小グループで海外旅行がしたい

小グループならパッケージ商品を利用するのも一手

小グループならパッケージ商品を利用するのも一手

少人数グループの場合、手配旅行を依頼するほどに団体ではないケースがあります。基本的に航空券やホテルなどで団体割引料金が適用されるのは、おおむね15名程度から。職場の部課単位での旅行や親族、同窓会などの目的で少人数が旅をする場合、幹事役は頭を痛めることでしょう。

フリープラン型のパッケージツアーをさがしてみるのも一考です。ほかのお客様と混合になるのが前提ですが、出発日によっては「自分たちグループだけ」というラッキーも。決め手になるのはパッケージ商品に記載されている最少催行人員です。例えば「2名から」という表現であれば最適。これが「30名から」となると、ほかのお客様との混合は必至です。

幹事が中心となって個別に手配をするのであれば、インターネットだけに頼らず、航空券や海外ホテルを扱う旅行会社の門戸を叩くと、おもわぬメリットも。なかには7人程度以上を団体とみなしてグループレート(団体料率)を出してくれることもあります。また、現地集合・現地解散などを検討、提案するのも一案です。
 

テーマ性のある海外旅行がしたい

海外のゴルフ場を専門に手配する業者もある

海外のゴルフ場を専門に手配する業者もある

トレッキングや登山、ゴルフやスポーツ観戦、音楽祭やフェスティバルなど、テーマ性の高い旅を希望するひとが増えています。そうしたひとの多くは趣味のサークルなどに入り、団体の手配旅行で行くケースが多いのですが、個人で参加したいときは、信頼のおける旅行会社を通すことをおすすめします。

旅行会社は人命を預かる仕事をしているので、法律にのっとり営業保証金を預けるなど、万一に備えています。特に、戸外でのアクティビティがある場合は注意します。またチケット手配が必要なケースでは、現地に行ってみないとわからないといった不安定要素が高い分、催行する旅行会社が旅程の補償をどこまでしてくれるのか、チケットの手配力なども念頭に置くことです。

個人旅行の観戦・観賞・観劇の場合、事前にインターネット等で予約をするか、現地在住者などにチケット手配の依頼をすることになります。開演の当日ないしは前日に、ホテルのコンシェルジュにチップを渡しチケット手配を頼むこともあります。また、スポーツやアクティビティに関するものは手厚く保険をかけ、できれば現地手配会社をさがし、山歩きなら専門ガイドを雇う、ゴルフであれば斡旋や送迎を頼むなどの工夫をするとよいでしょう。レンタカーも好都合ですが、くれぐれも安全運転を心がけてください。外国運転免許証のほかに、日本の運転免許証も念のため持参するとよいでしょう。


【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます