突然の辞任発表
9月12日、安部首相は記者会見を開き、辞任を発表しました。閣僚の度重なる不祥事や、参院選での敗北など就任後の問題で求心力を失っていながらも、参院選後に首相続投を宣言しながらの辞任だっただけに、驚きのニュースとなりました。歴代首相辞任後の株価
それでは、安部首相の辞任発表が株式市場にどのような影響を与えるかを考える前に、過去に首相が辞任を発表した後の株価動向がどうなったかを検証してみたいと思います。実際の退陣日と退陣表明の時期に隔たりがある上に、退陣が噂されている場合にそれが株価に織り込まれている可能性が高いため、退陣表明を行った日の約1週間前(株式市場で5営業日前)から、辞任日それぞれ1、2、3ヶ月(20・40・60営業日)の日経平均株価の動向を追うことにします。
検証の対象とした首相は、海部・宮澤・細川・村山・橋本・小渕・森の7首相です(在任期間が短かった羽田首相、任期を満了して辞任した小泉首相を除いています)。
検証結果
検証結果のグラフです。 クリックで拡大します。 |
上昇した首相のうち、宮澤首相はどの期間もほぼ横ばいとなっており、特に変化はありませんでしたが、残る3首相については3ヶ月で8%前後と大きく上昇しています。
各首相について要因を考えると、細川首相は自身の金銭スキャンダルによって即座に政権を明け渡したこと、村山首相は消費税の増税を認めたが、実施されずに退任したこと、森首相は次の小泉首相の人気などが株価上昇につながったのではないかと考えられます。
それに対して下落となった2首相では、橋本首相では消費税を導入し、回復しかけていた経済を停滞させることになったことによる失望感、小渕首相は突然の病死による政局不安の上、ITバブルの崩壊が始まった頃でもあり、株価下落の材料に事欠かない時期でした。
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