日本の年金制度に国籍は関係ない
外国人にとって複雑な日本の年金制度
国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人であれば、国籍に係わらず加入しなければなりません。厚生年金については、厚生年金に加入している会社に就職すると、一定の要件を満たせばこれも国籍にかかわらず加入義務が発生します。
将来もらえる年金についても国籍は関係ありません。老齢年金であれば、日本人と同じく25年以上の受給資格期間を満たすと老齢基礎年金が支給されます。
長期滞在する予定の外国人にとっては、老後の年金がもらえるということは良いことでしょう。一方、短期間だけ日本に住み、いずれ帰国する予定の外国人の皆さんにとっては25年間の加入期間を満たすのは難しく、「加入した期間とその期間に支払った保険料はどうなるのか? 払い損!? 」という問題に突き当たります。
日本で払った保険料はどうなる?
国民年金においては、日本に来た時の年齢が高く、60歳までに25年の受給資格期間を満たせないことが確実な場合(滞納で満たせない場合を除く)は、年金制度からの脱退が認められています(任意脱退)。しかし、厚生年金は将来もらえる可能性の有無にかかわらず、強制加入することが原則です(老齢年金はもらえなくても、遺族年金や障害年金は要件を満たせば支給されることになります)。
「社会保障協定」を結んでいる国については、日本で納めた保険料は母国の年金に反映されることになりますので、払い損(掛け捨て)にはなりません。また母国と日本の2つの国の保険料を支払う「二重負担」がなくなります。
●2014年10月現在、社会保障協定を結んでいる国
ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、以上15カ国と協定を結び既に発効しています。
※この他、イタリア、インド、ルクセンブルクについても署名済み(発効準備中)となっています。
一方、社会保障協定を結んでいない国の人で、年齢が若く短期滞在の場合は、日本の年金制度に加入したものの、保険料が「掛け捨て」になる可能性があることになります。これは困りますね。
>>掛け捨て防止のための制度とは?