文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)

みなさんは、公的年金っていくつあるかご存知でしょうか?
 現在、6つあります。
民間企業のサラリーマンは厚生年金、国や地方自治体の公務員、あるいは私立学校教職員や農協や漁協の職員は共済年金にそれぞれ加入しています。また、全国民が加入する国民年金があり、国内に住所のある20歳以上60歳未満の人はすべて加入することになっていますね。

さて、公的年金への加入については、本人の自由意志に基づいてではありません。仕事先や勤務の形態により加入する年金制度が予め決まっています。ですから、産業構造の変化や人口構成の変化などにより加入者が減りつづけ、財政基盤が揺らいでくる年金制度もでてきています。

年金は、私たちの老後の生活の基盤を支えるためにはなくてはならない社会保障制度です。そのため政府は、財政基盤を大きくして、年金制度により保険料や年金額が異なる格差を解消することを目標に、現在分立してそれぞれの法律に基づいて年金を支給している公的年金6制度を1つにする一元化を推進しようとしています。
 
このたび政府の公的年金制度一元化懇談会で統合条件が合意に至った農林漁業団体職員共済組合(以下、農林年金)と厚生年金は、平成14年4月統合をめざして今後国会に関連法案が提出されて審議されることとなりました。
 
そもそも農林年金はより手厚い年金を支給するために厚生年金から独立していった共済組合であり、加入者の減少などで財政が悪化したとはいえ手厚い年金給付は維持したい思惑があり、できるだけ現在の積立金を旧農林年金加入者の3階部分の年金原資に残したい農林年金と厚生年金との間で移管金の金額をめぐって話し合いが難航していたのでした。

結局、当初厚生年金が要求していた金額よりは少ない1兆6000億円の移管金と、厚生年金の保険料よりも上乗せした保険料を旧農林年金の加入者が平成20年9月分まで払うことで現時点で1600億円上乗せする1兆7600億円で決着したのです。

これで、公的年金一元化に向けてようやく一歩すすんだことになりますが、全体の合意を取り付けるにはまだまだ困難が予想されています。公務員の加入する国家公務員共済組合や地方公務員等共済組合は2004年度にも一方の財政が悪化した場合にもう一方が支援する制度をつくる予定ですが、厚生年金との統合までは話が進んでいませんし、比較的加入員の構成が若い私立学校の教職員などが加入する共済は財政が良好なだけに、こちらも厚生年金との関係をどうするかやその時期も未定です。

いずれにせよ、公的年金は私たちの老後の生活の基盤をなすものです。全国民が理解できるわかりやすい制度であってほしいし、財政基盤も将来にわたって強固であってほしいと願います。そして、制度の改編は利害がらみで難航するでしょうが、明らかに社会保障関連の負担が増大する次世代を担う子どもたちに、これ以上のつけをまわさないですむような英断を望みたいものですよね。

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