文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)
長年連れ添った夫婦でも、子どもの独立をきっかけに「離婚」という選択をする場合があります。先日も夫の暴力に耐えかねて離婚した女性(44歳)から「私の年金はどうなりますか?」というご相談を受けました。彼女の場合は、まだ年齢が若いので、これからでも自分自身の年金を充実させるのは可能です。しかし、夫の定年退職を機に離婚する場合などには、厳しい現実が待ち受けています。
公的年金制度に加入して自分で保険料を納付したことがない専業主婦が離婚すると、年金額はわずかになる場合が多いのです。国民年金の第3号被保険者期間が約12年(146月)あった昭和15年8月生まれのS子さんの場合も、年金は月額にして2万円あまりと、年金だけでは到底今後の生活は考えられない状態でした。
S子さんの離婚した夫は20年以上厚生年金に加入していましたから、もし、S子さんが65歳になった後で離婚していたら、S子さんの年金には振替加算額14万5100円(年額)が上乗せされ、離婚した後も年金月額は1万2000円程度増えていたはずです。しかし、それを事前に知っていたとしても、S子さんが離婚する時期を延期できたかどうかはわかりませんが・・・