文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)
夫の厚生年金加入期間が妻の年金に少なからず影響を与えることをご存知でしょうか?
老後の年金は、原則として65歳から支給されます。過去に少なくとも国民年金や厚生年金あるいは共済年金などに25年以上加入期間があることが要件です。
A子さん 昭和28年4月2日生まれ(48歳)
現在まで国民年金に26年間加入
夫 自営業(52歳)
42歳~現在まで国民年金10年
過去に21年間厚生年金加入
B子さん 昭和28年4月2日生まれ(48歳)
現在まで国民年金に25年加入
夫 自営業(52歳)
41歳~現在まで国民年金11年
過去に15年間厚生年金加入
さて、以上のような前提のもとで、?65歳になったとしたら・・・?もし夫が死亡したら・・・の2つのケースで妻A子さんとB子さんがもらえる年金額を比較してみることにしましょう。
?65歳になったら・・・?
20年以上厚生年金に加入していたA子さんの夫が65歳になれば、妻を対象にして配偶者の加給年金が厚生年金から支給されます。また、A子さん自身が65歳になれば、夫の加給年金は支給打ち切りとなりますが、A子さんの老齢基礎年金に振替加算が上乗せされることになります。A子さんの夫の加給年金は40万2100円、A子さんの振替加算は6万4800円です。この振替加算は一生涯A子さんの老齢基礎年金に上乗せされます。
それに対し、B子さんの夫は厚生年金には18年間の加入期間で20年未満ですから、A子さんの夫のように加給年金は老齢厚生年金に加算されません。B子さんが65歳になっても振替加算が上乗せされることもありません。
?もし、夫が死亡したら・・・?
A子さんの夫は厚生年金に20年以上の加入期間がありましたから、妻には遺族厚生年金と中高齢寡婦加算(60万3200円)が支給されます。また、A子さんが65歳になれば、中高齢寡婦加算にかわって、経過的寡婦加算(6万400円)が一生遺族厚生年金に上乗せされて支給されます。それに対して、B子さんの夫は厚生年金へは20年未満の加入期間でしたから、B子さんに支給される遺族厚生年金には、中高齢寡婦加算も経過的寡婦加算もありません。
以上のように、妻にとって夫が厚生年金に20年以上の加入期間があるのとないのでは、年金額に大きな差がでることがお分かりいただけたと思います。最近では、転職は珍しいことではなくなってきましたが、19年11ヶ月で「しまった!」ということがないように、その都度、厚生年金の加入期間を確認することは大切ですね。
お断り:( )内の年金額は、いずれも上記前提の平成13年度価格です
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