この問題は、「個人単位と世帯単位」、「応能負担と応益負担」、「公平性の確保」という社会保障制度としての年金制度の基本にかかわる大きな問題として取り上げられています。今、わが国では男女共同参画社会の形成に向けたさまざまな取り組みが進められています。それらの中で、この問題についても必要な改革が行われることを強く望まれます。報告書では、これまでの議論の整理と問題提起をスタートラインとして幅広い議論が広げられ、この問題についての国民的な合意が形成され、適切な結論が見出されることを求めたいとしています。
典型化した見直し案として(下記案では、第2号被保険者=夫、第3号被保険者=妻としている)
第1案 第3号被保険者にかかる保険料負担を負担能力に応じて負担
→妻が定率負担する
第2案 第3号被保険者にかかる保険料負担を受益に着目して負担
→妻が定額負担(13,300円)する
第3案 第3号被保険者にかかる保険料負担を受益に着目して負担
→夫が定額負担(13,300円)する(事業主負担あり)
第4案 第3号被保険者にかかる保険料負担を受益に着目して負担
→夫が定率負担(共働きの夫妻よりも高い保険料率)する
第5案 第3号被保険者にかかる保険料負担を、応能負担をより徹底する負担
→夫が定率負担する(相対的に片働き世帯が高所得であることに着目して、標準報酬上限を引き上げて保険料の追加負担を求める仕組み)
第6案 第3号被保険者を育児・介護期間中の被扶養配偶者に限るという仕組み
育児期間等に係る配慮措置
現行の制度では、育児期間に係る配慮措置としては、育児休業取得者のみを対象としています。しかし、現実には育児期間中も厚生年金の被保険者として働きつづけている人、第1号被保険者、さらには育児を理由として退職して第3号被保険者になっている人などがいます。年金制度を担う次世代の育成は重要な課題であるだけに
、年金制度としても育児期における仕事との両立支援や育児負担への配慮のための措置を拡充していくことが必要ではないかという意見があります。また、年金制度を担う次世代の育成とは性格が違う介護期間にうちても今後検討していくべきだという意見がまとめられています。