文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)
昭和22年7月生まれの専業主婦です。
最近になって、昔働いていた時(昭和41年3月~昭和44年5月)に加入していた厚生年金のことが気になりだしました。
同時期に同じ会社を退職した友人の話では、厚生年金には加入していたけれど、原資をもらってしまったから60歳から年金としてもらえることは無いとのこと。私は、厚生年金にも加入していたので、60歳からもらえると楽しみにしていたのですが…。このような制度が、本当にあったのでしょうか?(E子)
E子さんのご質問の制度とは、「脱退手当金」です。
戦前~戦後まもなくは、年金制度間で加入期間を通算する措置がありませんでした。
そのため、厚生年金の場合は、一定の要件を満たしている短期間加入者については、退職時に一時金として「脱退手当金」を受け取れる制度があったのです。
その後、国民年金が誕生した昭和36年4月以降は、通算年金通則法が施行されたために、各制度の年金加入期間は通算できるようになりました。
これによって、厚生年金から国民年金に加入しなおせば、加入期間は通算されてそれぞれの制度から年金が受取れる仕組みができたわけです。だから、厚生年金の加入期間を清算してしまうような「脱退手当金」の支給は、大幅に制限されることになったのです。
それは、厚生年金の被保険者期間が5年以上あり、老齢年金の支給要件を満たすことができない者が、60歳に達した後に厚生年金の被保険者の資格を喪失した場合にのみ脱退手当金を支給するというものでした。
では、なぜ3年3ヶ月厚生年金の加入期間しかなかったE子さんが脱退手当金を受給することになったのでしょうか?