文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)
25年以上にわたって、国民年金に加入して保険料を負担してきたりした場合には、65歳になると国民年金から老齢基礎年金がもらえます。平成17年度価格で、79万4500円(40年加入して保険料を納付した場合)です。
しかし、どうしても65歳前から年金が必要な場合には、手続きをすれば、老齢基礎年金の支給開始年齢を繰り上げて60歳0ヶ月からでも年金をもらう選択ができます。
ただし、本来65歳0ヶ月に受給する権利が発生してその翌月分からもらえるのが老齢基礎年金ですから、1ヶ月でも支給開始年齢を早めた場合には、年金額が一定率で減額されることになります。その減額率は、下記の表のように昭和16年4月2日以降に生まれた人(1か月繰り上げると0.5%の割合で減額になる。60歳0ヶ月(60ヶ月)だと0.5%×60=30%減額)と昭和16年4月1日以前に生まれた人(下記の表のように1年ごとに減額率が決まっています)では異なります。
繰上げ支給 | S.16.4.1以前 | S.16.4.2以降 |
60歳0ヶ月 | 58% | 70% |
61歳0ヶ月 | 65% | 76% |
62歳0ヶ月 | 72% | 82% |
63歳0ヶ月 | 80% | 88% |
64歳0ヶ月 | 89% | 94% |
早く年金がもらえると、それを今の生活に生かすことができます。元気な間に気がねなく旅行に行きたいと思うのであれば、その費用を繰り上げた年金で賄うことも可能。
しかし繰上げの請求をすれば、繰り上げた時点の減額率(上記)が適用されるため、例えば国民年金だけに加入をした昭和16年4月2日以降に生まれた人が60歳0ヶ月に手続きをした場合、76歳8ヶ月の年齢になると繰上げをしないで65歳から国民年金をもらった人に追いつかれます。(←損得の分岐点)長生きをすれば、生涯で受給できる年金額のトータルが繰上げをしなかった場合より少なくなってしまうリスクがあります。