2005年7月現在で社会保障協定がすでに締結されて発効しているのは、ドイツとイギリス・韓国です。
また以前にコラムでも書きましたが、アメリカについては、すでに二国間で協定の署名が行なわれ、国会でも協定は承認されており、2005年10月1日に発効することになりました。
アメリカとの日米社会保障協定では、年金だけでなく医療も対象で、アメリカへの派遣が5年以内の見込であれば、アメリカのメディケアが適用免除となり、海外療養費制度によって日本の保険者に後日請求して、償還払いをうけることになります。
ベルギー・フランスとの社会保障協定も合意
さて、アメリカや韓国についで社会保障協定案の内容に合意したのは、ベルギーとフランスです。ベルギーは、在留する日本人の数については世界的に見て、それほど上位には位置していませんが、欧州の玄関口という地理的な好立地条件などから日系企業の全欧州の事業活動の拠点となっている国でもあります。
今回の合意内容は、アメリカ同様、年金だけでなく医療保険制度についても保険料二重負担をなくすこと、年金の加入期間を通算できることに加えて、これまでベルギーでは国外居住の外国人年金受給者に対する年金の支払を制限してきましたが、日本人および日本に居住する場合にはその制限を行なわないことになります。
なお、EUは2004年4月、加盟国(25カ国)がその地域内で社会保障協定を締結するためのEUモデルをEU規則の中で規定していますが、ベルギーはそのモデルに沿った格好で地域内外の国と協定を結んでいるので、今後EU加盟国と日本との社会保障協定の締結は、EUモデルにならって加速することが期待されています。
またフランスについても、2004年10月の第5回政府間交渉で、協定内容の実質的な合意に至り、平成17年2月に両国間で社会保障協定締結の署名が行なわれました。ベルギーと同様に18年度末をめどに、発効する予定になっています。
今後、締結の見込みのある国々は!?
カナダとは2004年10月に第1回政府間交渉が行なわれています。また、オーストラリアとも、第1回の政府間交渉が行なわれています。この両国の年金は、税方式によって年金を支給している国々ですが、加入期間の通算についても前向きに取り組むとのことです。その他、社会保障に関する二国間協定について協議を行ないたい旨の申し入れのある国としてはオランダ、イタリア、ルクセンブルグおよびフィリピンなどがあります。
このように、社会保障協定の輪は全世界に広がりつつあります。
働いて収入がある期間にきちんと年金保険料を払っておくと、将来の年金受給資格に結びつくのは、「国内外の年金制度を問わず」ってことになりそうですね!
アメリカとの社会保障協定についてのコラムはこちらこちら>>