制度移行時の積立不足は税金で穴埋め
ちょっと考えてみてください。共済年金が超えなければならない一元化への課題は山積している |
例えば、新しく企業年金の制度を導入することになった企業があるとします。
こういう場合、制度導入前の勤続年数を企業年金の加入期間に算入するでしょうか?もし仮に算入するとしたら、そのような人たちは退職するまでに負担した保険料総額は僅かであっても、勤続年数が長ければ十分過ぎる年金をうけとれるわけです。
このような、うまい話は民間では考えられません。
しかし、共済年金では可能でした。これが、かつて「恩給」から「共済年金」に移行した時に採用された追加費用です。
共済組合の歴史を振り返ってみれば、もっとも大きな変革があったのは、恩給から共済組合への移行時です。そもそも恩給というのは、退職金という制度がなかった頃に作られた制度で、在職中に給与の2%を納めることにより、退職金の年金払いとして支給されていたのが恩給だったのです。
もちろん恩給制度が廃止されて共済年金に引き継がれた後は、公務員にも退職金が支給されています。そして、民間よりも有利な共済年金が受取れるわけです。しかも、共済年金の計算は公務員であった全期間を対象としますから、恩給時代から公務員だった人は本当に優雅にリタイアーできたのです。
この追加費用ですが、半端な額ではありません。
平成15年度の実績値で、地方公務員共済では1兆3352億円、国家公務員共済では5187億円で両方合わせると約1兆8500億円にもなります。これは、保険料未納問題で揺れている国民年金の第1号被保険者が納付する1年間保険料総額(約1兆9600億円)にも匹敵するほどの額です。昭和30年代から毎年投入されてきた追加費用の総額を思うと、深いため息がでてしまいます。(参考:公的年金各制度の財政収支状況平成15年度末)
厚生年金と共済年金を一元化を考えると、この共済年金への追加費用をどう処理していくかが検討の主要論点となることは間違いなさそうです。
>>続きは次のページ