男性はちょっと頭が痛くなる? |
事例でみてみましょう1(会社員と専業主婦の場合)
では、具体例を考えてみましょう。まずは、会社員と専業主婦の場合です。
婚姻期間が30年、夫婦ともに55歳で、夫は厚生年金に婚姻期間中(25歳から55歳)の30年間加入し、妻は、その間ずっと夫の扶養に入り専業主婦であったとします。この夫婦が平成19年4月に離婚する場合、年金分割をすると、年金額はどうなるのでしょうか。
按分割合は夫婦の協議により、50%になったとします。妻には厚生年金の被保険者期間がありませんので、夫の厚生年金被保険者期間中の給与総額(標準報酬総額)の50%が妻に分割されることになります。その結果、妻についても婚姻期間中(25歳から55歳)の30年間、厚生年金に加入していたとみなされ、夫の保険料納付記録の半分が妻の記録となるのです。
実際には、加入期間の各月ごとに標準報酬が分割改定されますが、ここでは、平均で考えます。夫の平均報酬を36万円とすると、その半分が妻へ分割されることになりますので、分割後の平均報酬は夫も妻も18万円{(36万円+0万円)÷2}となります。
では、将来の年金額をみてみましょう。厚生年金には婚姻期間中のみ加入していたものとして、厚生年金加入期間以外はすべて国民年金に加入し保険料を納付していたとすると、概算額は下図のようになります(図中の老齢厚生年金額は、婚姻期間中のみ厚生年金に加入していたものとして計算しています。なお、婚姻期間以外に厚生年金加入期間がある場合は、その期間の年金は分割の対象とはなりません)。
分割前、夫は老齢基礎年金(約79万円)以外に老齢厚生年金を年間約98万円受給できますが、妻は老齢基礎年金(満額で約79万円)のみです。離婚時の年金分割により、分割後には、夫の老齢厚生年金は、半分の約49万円となり、妻にも同額の老齢厚生年金が支給されることになります。
事例でみてみましょう2(共働き夫婦の場合)
次に共働き夫婦の離婚分割の例をみてみましょう。婚姻期間が30年、夫婦ともに55歳で、夫婦ともに厚生年金に婚姻期間中(25歳から55歳)の30年間加入していたとします。夫の平均報酬を36万円、妻の平均報酬を18万円とすると、標準報酬総額(給与総額)は夫の方が多いので、夫から妻への分割となります。
この場合、夫婦ともに厚生年金の保険料納付記録を持っているので、夫婦の標準報酬総額を合計して、按分割合を決めることになります。按分割合を50%として平均報酬で考えてみましょう。分割によって、夫も妻も平均報酬は27万円{(36万円+18万円)÷2}になると考えることができます。
したがって、夫婦ともに、厚生年金には婚姻期間中のみ加入していたものとして、厚生年金加入期間以外はすべて国民年金に加入し保険料を納付していたとすると、将来の年金額(概算額)は下図のようになります(図中の老齢厚生年金額は、夫婦ともに、婚姻期間中のみ厚生年金に加入していたものとして計算しています。なお、婚姻期間以外に厚生年金加入期間がある場合は、その期間の年金は分割の対象とはなりません)。
分割前、夫は老齢基礎年金(約79万円)以外に老齢厚生年金を年間約98万円受給できますが、妻の老齢厚生年金は年間約50万円です。離婚時の年金分割により、分割後には、夫も妻も老齢厚生年金は約74万円となります。妻自身に厚生年金の加入歴がありますので、分割による妻の年金アップ分は少なくなります。
いかがでしたでしょうか?意外に複雑な離婚時の年金分割制度ですが、知識としては持ちながら、やはり、夫婦円満が一番なのではないでしょうか。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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