まだ間に合う~60歳を過ぎてから年金を増やす Part1
老齢基礎年金は、原則として20歳から60歳までの40年間保険料を納めると年間792,100円(平成19年度額)の年金が受け取れますが、保険料を納めた期間が40年に満たないと保険料を納めた期間に応じた年金額に減額されます(詳細は(「すぐわかる!年金額の計算方法」参照)。(例)保険料を30年間(360月)納付した場合
792,100円×360月/480月=594,100円(100円未満四捨五入)
昭和61年4月に全制度共通の基礎年金が導入され、20歳以上の国民全てが必ず年金制度に加入することになりましたが、それ以前は学生や専業主婦については公的年金への加入が任意でした(学生は平成3年3月まで)。したがって、当時は「任意加入だから、保険料は納めない」という選択もできました。
「年金制度に加入しなかった期間の保険料を今納められないの?」という相談を受けることがよくありますが、現在の制度では保険料を遡って納めることができるのは最大で2年前までです。それより前の未加入期間の保険料を後から納めることはできません。
また、「免除」ではなく「滞納」で保険料を納めなかった未納期間についても、同様に2年以上前の分をさかのぼって納めることはできません。60歳を直前にした人からよく「昔払えなかった期間分を今払いたい」と言われますが、2年以上前の分は払うことができないのです。
このように国民年金は過去の保険料を納めることはできませんが、60歳を過ぎてからも加入する方法があります。それは「任意加入」という方法です。年金額を増やすための任意加入制度は、60歳から最大で5年間、65歳になるまで引き続き国民年金に加入できる制度です。
60歳まで第1号被保険者(自営業者、フリーランス)だった人に限らず、第2号被保険者(会社員)や第3号被保険者(専業主婦)だった人でも任意加入することができます。任意加入によって保険料納付済期間が加算されるので、年金額を増やすことができます。なお、任意加入して納める保険料は、第1号被保険者と同額の保険料です(月14,100円,平成19年度額)。
先ほどの保険料を納めた期間が30年ある人が、60歳から5年間任意加入した場合で計算してみましょう。ただし、年金額は792,100円(平成19年度額)、毎月の保険料は今後の国民年金の保険料の引き上げを考慮して15,000円としてみます。5年間で納める保険料の総額は、
になります。任意加入により保険料を納めた月数が60月増えるので、受け取る年金額は
となり、任意加入をしなかった場合に比べて年金額は99,000円多くなります。65歳男性の平均余命が18.13歳(第20回完全生命表より)なので、65歳から83歳まで老齢基礎年金を受け取った場合の年金の増加額の累計は
となります。平均余命で考えると、任意加入によって納めた保険料の約2倍の年金を受け取ることができる試算になります。
また、国民年金に任意加入すると、先に述べた付加年金に加入することもできます。第2号被保険者や第3号被保険者だった人も、任意加入の期間は付加保険料を納めることができます。先ほどの例で付加保険料も5年間納めると、付加年金が年額12,000円プラスされます。
ここで注意しなければならないのは、60歳までの加入期間と任意加入の期間を合わせて40年以上になっても老齢基礎年金の金額には反映しない点です。老齢基礎年金の場合は、保険料を40年間納めた場合が最大の支給額になるしくみなので、それ以上保険料を納めても割増されることはありません。
保険料を負担しなくても年金が増える!?(次ページへ)