より高い目標額が必要に… |
いくら必要?~老後の準備Part2(フリーランス世帯の場合)
前述の計算で使用した調査データはあくまでも現在の平均世帯です。調査データでは老後の収入における社会保障給付費は、209,517円となっていました。「夫が会社員で厚生年金に40年間加入、妻が専業主婦で国民年金に40年間加入」というモデルケースならば、夫婦2人が受け取る老齢年金の合計額は約23万円(平成19年度額)ですので、計算に使用した社会保障給付費を上回ります。
ところが、「フリーランスの夫婦で、夫も妻も国民年金のみに40年間加入」というケースの場合、夫婦2人が受け取る老齢年金の合計額は約13万円(平成19年度額)です。事例で使用した社会保障費の額を下回り、不足額は1ヵ月で約12万4,000円、1年間で約150万円になります。この不足額を20年間受け取るための必要元本(積立目標額)と必要積立(拠出)額を先ほどと同じ条件で年金現価係数と年金終価係数を使って計算してみましょう。
(必要元本(積立目標額)) |
150万円×18.2260(年金現価係数:運用利率1%,期間20年) |
=2734万円(1万円未満四捨五入) |
(必要積立(拠出)額) |
2734万円÷24.7833(年金終価係数:運用利率2%,期間20年) |
=1,103,200円(100円未満四捨五入) |
1,103,200円÷12月=91,933円(1円未満四捨五入) |
今から始めればいくら位?~積立額を比べてみよう
上記の計算例は、現在の高齢者世帯の収支状況を参考に試算した不足額と積立必要額です。老後資金の準備としては、夫婦2人の生活費の不足額だけでなく、配偶者が亡くなって1人になった後の生活費も考慮して毎月の積立額を考えてみるといいでしょう。
ここでは60歳までの積立目標額を3000万円、運用利率は2%の複利運用として、積立開始の年齢を25歳、30歳、40歳、50歳とした場合の毎月の必要積立額を、先ほどの年金終価係数を使って計算して比べてみましょう。
- 25歳から積立を開始,35年間で積み立てる
3000万円÷50.9944=588,300円(100円未満四捨五入,以下同様) 588,300円÷12月=49,025円 - 30歳から積立を開始,30年間で積み立てる
3000万円÷41.3794=725,000円 725,000円÷12月=60,417円 - 40歳から積立を開始,20年間で積み立てる
3000万円÷24.7833=1,210,500円 1,210,500円÷12月=100,875円 - 50歳から積立を開始,10年間で積み立てる
3000万円÷11.1687=2,686,100円 2,686,100円÷12月=223,842円
また、積立を始める年齢ごとに運用利率を変えて比較してみると、以下のようになります。
積立開始年齢 | 運用利率 | ||
1% | 2% | 3% | |
25歳 | 72万円 (6万円) |
59万円 (5万円) |
48万円 (4万円) |
30歳 | 85万円 (7万円) |
72万円 (6万円) |
61万円 (5万円) |
40歳 | 135万円 (11万円) |
120万円 (10万円) |
110万円 (9万円) |
50歳 | 284万円 (24万円) |
269万円 (22万円) |
254万円 (21万円) |
※万円未満四捨五入,表中の額は年額(カッコ内が月額)
元気な高齢者、その秘訣は?
経済的にも安定した人の多い現在の60代や70代は、とても元気で行動的です。総務省の調査によると、旅行関連費の支出が最も多いのは60歳代の世帯で、次いで多いのは70歳代の世帯です。さらに、スポーツ施設の使用料の支出金額が最も多いのも60歳代の世帯で、最も少ない30歳未満の世帯に比べると約8倍の支出額なっています。ゆとりができる60歳以降の時間を十分に楽しんでいることが調査結果にも出ています。
そんな元気な高齢者になるためにも、経済的な自立やゆとりは大切なことです。「まだ先のことだから」「今はお金がかかるときだから」と、準備を先送りせずに少しずつでも始めていくと、負担も軽くすることができます。
また、老齢年金が国民年金だけである自営業者やフリーランスは、よりいっそう、自分で老後資金を確保することが必要になります。自営業者やフリーランスならば、確実に老後資金が準備できて掛金にもメリットの多い国民年金基金の利用や、誰でも利用できる個人年金保険などを活用して早目の準備を心がけましょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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