年金/年金関連情報

自営業者のリタイアメントプラン(2ページ目)

定年のある会社員に比べて長く仕事を続ける人が多い自営業者やフリーランス。老後資金より事業経営を優先しがちな自営業者やフリーランスの方のためのリタイアメントプランについてご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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年金に「2階」を積み上げよう

自営業者、フリーランスも2階建ての年金に

自営業者やフリーランスの老齢年金は2階部分がありません。また、収入にかかわらず定額の国民年金の保険料を納めて、保険料を納めた期間に応じた定額の年金を受け取るしくみであり、老齢基礎年金の満額は年間で792,100円(月約6.6万円)となります。

そこで活用をおすすめしたいのが、国民年金基金です。国民年金基金とは、厚生年金等に入れないフリーランスなど(国民年金の第1号被保険者)の人たちが2階部分として任意に利用できる制度です。将来の生活費を補うことはもちろん、保険料支払期間中には、節税効果も得られます。国民年金の保険料をきちんと納めていれば、誰でも加入することができます。

国民年金基金は、都道府県ごとに1つずつある「地域型国民年金基金」と、職種ごとに全国規模で設立されている「職能型国民年金基金(現在25職種)」があります。詳細は、国民年金基金のHPをご覧ください。

国民年金基金は、いくつかある給付の型や年金額の中から、その保険料と照らし合わせて選ぶことができる、いわば「パターンメイド型」の年金制度です。

まず1口目を2つの型(A型・B型)のうちどちらかを選択します。1口目は必ず終身年金です。終身年金とは、年金が支給開始となる65歳から一生涯もらうことができる年金です。

もう少し年金額を増やしたいという人は、2口目以降を加算します。2口目以降は5種類(A・B型、1~3型)の中から選択することができ、一生もらえる終身年金と期間限定でもらえる確定年金があります。

また、国民年金基金の支給する年金は確定給付型の年金なので、リスクが低く、ライフプランを考える上で老後の確実な収入と位置づけることができます。さらに、加入口数も加入した後増やしたり減らしたりすることができるので、ライフプランや収入にあわせて調整もできます。
 
※国民年金基金パンフレットより

上図のように、タイプにより支給が開始される年齢や支払保証期間の長さが異なっています。支払保証期間とは、万一の場合に、一定の条件の遺族に一時金が支払われることを保証された期間です。ほとんど全ての型に支払保証期間が設定されていますが、B型だけは支払保証期間の設定はありません。ただし、その分、B型はA型に比べ掛金が低く設定されています。

国民年金基金の掛金は、加入時の年齢と性別により変わりますが、鈴木さん夫婦が国民年金基金のA型に1口ずつ加入した場合、誠さんが負担する掛金は1ヵ月13,760円、久美子さんが負担する掛金は1ヵ月16,400円になります。

60歳まで掛金を負担するので、掛金の負担総額は約766万円(平成19年2月に加入した場合、21年2カ月掛金を納める)、受け取る年金は夫婦ともに1人1ヵ月に2万円で夫婦合計で年間48万円になります。もちろん一生涯支給されます。

さらに、国民年金基金に納める掛金と受け取る年金には節税効果があります。民間の個人年金保険は、所得からの控除が最大5万円ですが、国民年金基金の掛金は全額を社会保険料控除として、所得税の計算の際、課税所得から差し引くことができます。

鈴木さん夫婦の例では、年間の掛金額約36万円を社会保険料控除として課税所得から差し引くことができます。もし鈴木さん夫婦の課税対象となる所得を500万円とすると、国民年金基金に加入していなければ、納める所得税は
500万円×20%?42万7,500円=572,500円
です。国民年金基金に加入して掛金(36万円とする)を納めていれば、納める所得税は
(500万円?36万円)×20%?42万7,500円=500,500円
となり、約72,000円の節税効果があります。

また、受け取る年金は雑所得として所得税の対象になりますが、老齢基礎年金と同様、公的年金等控除の対象となります。この場合も税制上有利な扱いとなっています。

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