なかなか分割のしくみは複雑です… |
- 分割の上限は5割
厚生年金の保険料納付記録の分割は、夫婦が話し合った合意の下、あるいは裁判所の判断にしたがって行われますが、分割の上限は5割となっています。ただし、分割の対象となるのは夫婦の保険料納付記録です。
「夫が会社員、妻は結婚以来専業主婦」という夫婦が離婚する場合、結婚後に厚生年金の保険料納付記録を持っているのは夫のみです。したがって、下図のように夫の厚生年金の保険料納付記録が妻に分割されます。
一方、共稼ぎで夫婦ともに厚生年金に加入している場合は、お互いの加入記録を合計して分割します。共稼ぎ夫婦の分割の順序は、初めに結婚から離婚までのお互いの給与(標準報酬)の総額を比較します。
次に、この金額を比較して多いほうから少ないほうへ保険料納付記録が分割されます。夫のほうが多い場合は夫から妻へ、妻のほうが多い場合は妻から夫へ保険料納付記録が分割されます。分割割合の上限は、分割後のお互いの対象期間の標準報酬総額が夫婦合計の2分の1になるまでです。
図のように、分割を受けた側(妻)の対象期間の標準報酬総額が、分割した側(夫)の対象期間の標準報酬総額を超えない範囲で分割されます。 - 年金の受給資格は自分の加入記録だけで満たさなければならない
老齢年金の受給資格を判断する「原則25年以上」の加入記録の中に、離婚分割で分割された加入記録を加算することができません。自分自身で加入した記録のみで25年以上の加入期間を満たすことが必要です。
離婚時の年金分割~3号分割Part1
それでは、今年の4月から新たに導入される離婚時の年金分割をみていきましょう。今年4月から始まる離婚時の年金分割は「第3号被保険者期間の離婚分割制度」です。このいわゆる「3号分割」の対象となるのは、第3号被保険者だけです。「会社員の夫と専業主婦の妻」といった第2号被保険者と第3号被保険者の夫婦が離婚する場合、平成20年4月以降の夫の保険料納付記録の2分の1が自動的に妻に分割されます。夫の同意や裁判所の決定が必要ありません。
ただし平成20年3月までの期間と平成20年4月以降の共働きで夫婦とも厚生年金に加入している期間については、従来どおり夫婦の話し合いによって(話し合いで同意が得られない場合は裁判所の決定)、分割割合を決定します。
平成20年4月以降の離婚時の年金分割は、以下の図のようになります。
3号分割は2段階(次ページへ)