では、事例を使って調整のしくみをみていきましょう。
(例2)
例1の田中さんが定年退職後、今の会社に給与20万円、賞与なしという条件で再雇用されました。田中さんは1ヵ月10万円の老齢厚生年金をもらうことができるので、在職老齢年金が適用されて老齢厚生年金が減額されます。減額される金額は
(20万円+10万円?28万円)×1/2=10,000円※
※ 減額される年金額を求める計算式は
「働き続けると年金がもらえないってホント?」をご覧下さい。
次に、給与が定年前の61%未満(20万円÷45万円)に低下するので、高年齢雇用継続給付が支給されます。支給額は
20万円×15%=30,000円
高年齢雇用継続給付が支給されるので、老齢厚生年金がさらに調整されて、減額される額は、
20万円×6%=12,000円
したがって、1ヵ月に支給される老齢厚生年金は
10万円?(10,000円+12,000円)=78,000円
つまり、田中さんの再雇用後の総収入(給与+老齢厚生年金+高年齢雇用継続給付)は
20万円+78,000円+30,000円=308,000円
になります。
年金と基本手当、選択の注意点は?
前述のように、定年退職後に基本手当をもらうと、老齢厚生年金は支給停止になります。また、基本手当はあくまでも「もう1度仕事をする」という再就職の意思がなければもらうことはできません。退職後、最寄のハローワークで所定の手続きを行い、その後もハローワークの指示に従って求職活動を行い、4週間に1回「失業の認定」という確認を受けることが必要です。
「年金より金額が高いから」という理由だけで申込みをすることはできません。そして、基本手当の支給には年齢制限があります。雇用保険の加入期間など要件を満たしていても65歳以上の人は基本手当をもらうことができません(基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」が支給されます)。年金に比べて、雇用保険の基本手当は手続や制限が多いので注意しましょう。
60歳以降、雇用を継続した場合の高年齢雇用継続給付の他にも、雇用保険には、資格を取るためにかかった費用の一部が支給される「教育訓練給付金制度」や再就職に役立つ技術を習得するための無料の公共職業訓練があります。
定年退職を迎えても、まだまだ現役として、より充実したセカンドライフを送るために、年金制度とあわせて雇用保険を積極的に利用してみてはいかがでしょうか。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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