具体的な目標額は?会社員とフリーランスで比較します |
事例で考えようPart1~会社員編
それでは、具体的な老後資金準備目標額の計算手順を、事例でみていきましょう。まずは、会社員夫婦の場合です。厚生労働省の年金試算のモデル世帯(夫が会社員で40年間民間企業に勤務、妻は専業主婦)で、65歳から80歳まで15年間の収入と支出の見込みから老後資金の準備額を計算してみます。
●会社員世帯の老後の収入
モデル世帯の会社員夫婦がもらう老齢年金は、1ヵ月約23万円です。この金額で15年間もらい続けると仮定すると、年金収入は以下の通りです。
23万円×12ヵ月×15年=4,140万円
次に、退職金は定年退職まで勤務した会社員の平均受取額2,200万円(厚生労働省「平成19年度賃金事情等総合調査」より)とします。
また、企業年金として厚生年金基金制度のある会社に勤務していたと仮定すると、上乗せ部分の平均額の1ヵ月1.6万円(厚生労働省「平成19年度年金制度のポイント」より)が15年間支給されるとすると、上乗せ額の合計は以下の通りになります。1.6万円×12ヵ月×15年=288万円
●会社員世帯の老後の支出
また、企業年金として厚生年金基金制度のある会社に勤務していたと仮定すると、上乗せ部分の平均額の1ヵ月1.6万円(厚生労働省「平成19年度年金制度のポイント」より)が15年間支給されるとすると、上乗せ額の合計は以下の通りになります。
65歳以降の基本生活費は、ゆとりある生活を送るために必要な生活費1ヵ月38.3万円とします。65歳から80歳までの基本生活費の合計は、以下の通りです。
38.3万円×12ヵ月×15年=6,894万円
また、一時的な支出に備えた予備費は、800万円とします。
この事例の会社員夫婦の老後の収入と支出から老後資金の準備額を計算すると以下のようになります。
この事例の会社員夫婦の老後の収入と支出から老後資金の準備額を計算すると以下のようになります。
老後の収入 | 老齢年金 | 4,140万円 |
退職金 | 2,200万円 | |
企業年金 | 288万円 | |
収入合計 | 6,628万円 | |
老後の支出 | 基本生活費 | 6,894万円 |
予備費 | 800万円 | |
支出合計 | 7,694万円 | |
老後資金の準備額(支出合計?収入合計) | 1,066万円 |
「退職金を老後資金に」と考える人が多いと思いますが、長い人生を考えると会社員世帯でも不足額がでてしまい、このモデル世帯の老後資金の必要準備額は1,066万円(約1,000万円)となります。「会社員だから安心」ということはなく、公的年金や退職金、企業年金は人それぞれですから、自分である程度準備する必要があります。
事例で考えようPart2~フリーランス編
フリーランス夫婦も、会社員夫婦と同様に65歳から80歳まで15年間の収入と支出の見込みから老後資金の準備額を計算しましょう。●フリーランス世帯の老後の収入
フリーランス夫婦が、第1号被保険者として40年間、国民年金の保険料を全て納めたと仮定すると、1人が受け取る老齢基礎年金は年額で792,100円です。この年金額を65歳から15年間受け取るとすると、80歳までにもらう年金の合計額は、以下の通りです。
792,100円×2人×15年=2,376万円(1万円以下は四捨五入)
夫婦で加入しているのは国民年金のみで、国民年金基金や小規模企業共済制度には加入していないとします。
また、この夫婦の事業収入が年収500万円と仮定して、65歳から70歳までは仕事を続けるとした場合、事業収入の合計は以下のようになります。500万円×5年=2,500万円
●フリーランス世帯の老後の支出
792,100円×2人×15年=2,376万円(1万円以下は四捨五入)
夫婦で加入しているのは国民年金のみで、国民年金基金や小規模企業共済制度には加入していないとします。
また、この夫婦の事業収入が年収500万円と仮定して、65歳から70歳までは仕事を続けるとした場合、事業収入の合計は以下のようになります。
65歳以降の基本生活費は、会社員夫婦と同様、ゆとりある生活を送るために必要な1ヵ月38.3万円とします。80歳までの基本生活費の合計は、以下の通りです。
38.3万円×12ヵ月×15年=6,894万円
また、一時的な支出に備えた予備費は、800万円とします。自営業者夫婦の老後の収入と支出から老後資金の準備額を計算すると以下のようになります。
老後の収入 | 老齢年金 | 2,376万円 |
事業収入 | 2,500万円 | |
収入合計 | 4,876万円 | |
老後の支出 | 基本生活費 | 6,894万円 |
予備費 | 800万円 | |
支出合計 | 7,694万円 | |
老後資金の準備額(支出合計?収入合計) | 2,818万円 |
会社員とは公的年金の額が異なるフリーランス世帯の場合は、自分で準備する老後資金の準備額は会社員の事例より多めの2,818万円(約3,000万円)となります。
フリーランスや自営業者は「ずっと働けるから安心」と考えてしまいがちですが、自分の老後(働けなくなったとき)のことを考えて早めに準備しておくようにしましょう。
自分に必要な老後資金の考え方は次ページで