「家族に負担はかけたくない」と考える人が増えています |
「万が一、自分が死亡したら、残された遺族の生活をどうするのか」それが死亡のリスクです。自分が死亡した場合、遺族に残せるものとして、まずは遺族年金があります。
遺族年金には、厚生年金に加入する会社員であれば遺族厚生年金と遺族基礎年金、国民年金のみに加入する自営業者やフリーランスであれば遺族基礎年金があります。遺族厚生年金は、遺族の要件が比較的緩やかで子どものいない妻であっても受け取ることができます。
一方、遺族基礎年金は、子どもがいる妻か子どものみに支給されます。子どもについては高校卒業前あるいは障害のある20歳未満の子どもでなければ、年金の対象となる遺族になりません。遺族年金の詳細については、「『もしも…』の場合の年金は?」「フリーランスのための遺族年金」をご覧下さい。
公的な遺族年金以外に遺族に残せるものとしては、会社員であれば死亡退職金などがあります。また、会社員、自営業者を問わず生命保険に加入していれば死亡保険金が遺族に支払われます。
日本人の生命保険加入率は約80%(平成19年生命保険文化センター「生活保障に関する調査」より)と高く、死亡のリスクについてはある程度備えている人が多いと思われます。ただし、今の備えだけで十分なのか、あるいは十分すぎるのか1度考えてみる必要があります。つまり、自分が死亡した場合、遺族が得る収入でその後の生活費などの支出を賄うことができるか計算してみると、死亡のリスクに対する備えが十分かどうか判断できます。
もし、支出が収入を上回れば備えが十分とは言えず、その差額分をさらに準備しなければなりません。ライフプランニングでは、その差額を「必要保障額」と呼んで、死亡のリスクに対する備えと考えます。必要保障額は、一般的に以下のような項目を考慮して計算され、生命保険会社などでも計算してくれます。
支出見込額 | 遺族生活費 | 末子独立まで | 現在の生活費×70%× 末子22歳までの年齢 |
妻1人 | 現在の生活費×50%× (妻の平均余命?末子22歳までの年齢) |
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ライフイベント その他の費用 |
教育費 | 現在から大学卒業までの子の入学金と授業料 | |
結婚資金 | 結婚資金の援助 | ||
住居費用 | 修繕費、リフォーム費用等 | ||
予備費 | 葬儀費用、整理資金等 | ||
収入見込額 | 遺族保障 | 遺族年金 | 遺族基礎年金、遺族厚生年金等 |
企業保障 | 退職金 | 夫の勤務先より支給 | |
資産 | 預貯金 | ||
その他金融資産 | |||
生命保険(死亡時に支給される保険金など) | |||
妻の収入 | 給与収入 | 現在から退職時まで | |
老齢年金 | 老齢基礎年金、老齢厚生年金等 | ||
必要保障額=支出見込額?収入見込額 |
●介護のリスク
平成12年4月に介護保険制度がスタートし、40歳以上の人は介護保険の被保険者として保険料を納付しています。介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の第2号被保険者に区別されます。第1号被保険者は、市町村ごとに定められた保険料を、原則年金からの天引きで納めています。第2号被保険者は、健康保険など医療保険の保険料と合わせて介護保険の保険料を納めるので、健康保険に加入する会社員は毎月の給与や賞与からの天引きで、また、国民健康保険に加入する自営業者やフリーランスは、国民健康保険の保険料(税)と合わせて納付書が送付されて納付します。
介護保険を利用して介護サービスが受けられるかを判定する要介護認定の基準は第1号被保険者も第2号被保険者も同じ基準ですが、年齢が若い第2号被保険者については要介護状態の原因となった疾病が特定の疾病(初老期の認知症など加齢に伴う病気である16種類)でないと介護保険による介護サービスは受けることができません。
要介護状態であることが認定されて介護サービスを受けることができる場合は、介護サービス費用の自己負担は1割負担です。また、介護サービスには自宅で介護を受ける場合の在宅サービスと施設に入所して介護を受ける施設サービスがあります。
在宅サービスの場合は、要介護状態区分(要介護1~5の5段階、1が最も軽く5が最も重い要介護状態)によって利用できるサービスの内容や金額に上限があり、上限を超えた分は全額自己負担になります。1ヵ月の利用限度額は最も重い要介護5で約37万円、最も軽い要介護1で約17万円です。
いろいろなサービスを選択しようとすると上限を超えてしまい、その分を自己負担しなければなりません。また、施設サービスやショートステイサービスを受ける場合は、1割の自己負担とは別に居住費と食費などの自己負担があります。
一般的に介護が必要になると、症状が回復することはあまり望めない傾向にあります。このため、要介護状態がある程度長引くことが予想されます。介護保険があるとはいえ、要介護状態が長引くと自己負担もかさむため、介護のリスクを考える必要があります。
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