家族の資産を総チェック! |
余裕資産から準備する
家計収支を確認してみたら、黒字がほとんどない、あるいは赤字になってしまうことも考えられます。支出の中身を確認し、無駄をなくすことで家計を改善し、老後資金の準備に備えることも1つの選択肢ですが、「現状維持で精一杯」という人もいるかもしれません。そこで、現在保有している資産の中から、老後資金の準備にあてられる資産があるかどうかをチェックしてみましょう。家計の資産をチェックするには、定期預金のような金融資産だけでなく住宅や自動車、生命保険なども資産に含め、さらに負債もどのくらいあるのかチッェクして、資産から負債を差し引いた純資産を確認することが必要です。こうすることで現在の家計の状況を総合的に捉えることができます。特に、純資産がマイナスになっていないか確認しましょう。
作成するためには、会社の場合と同様、「家計のBSシート(貸借対照表)」を作ることがお薦めです。ただし、会社で作成するBSシートとは中身が多少異なるので、先ほどのサトウさん一家の例でBSシートを作成してみます。
資産 | 負債 | ||
預貯金 | 1,700,000 | 住宅ローン | 14,530,000 |
生命保険 | 1,890,000 | 負債合計 | 14,530,000 |
住宅 | 24,330,000 | 純資産 | |
資産合計 | 27,920,000 | 純資産 | 13,390,000 |
負債・純資産合計 | 27,920,000 |
【データ資料】
・預貯金
金融広報中央委員会「平成19年家計の金融資産に関する世論調査」より30歳代の一世帯あたりの金融資産保有額中央値
・生命保険
金融広報中央委員会「平成19年家計の金融資産に関する世論調査」より一世帯あたりの平均保有額
・住宅
国土交通省「平成19年度住宅市場動向調査」より中古住宅購入の平均額
・住宅ローン
金融広報中央委員会「平成19年家計の金融資産に関する世論調査」より30歳代の住宅ローン残高平均額
モデルのサトウさん一家のBSシートはさまざまな統計データの平均値から作成しましたが、自分のBSシートを作る場合は、以下の点に注意しながら各項目の数値を入れてみましょう。
●資産
- 預貯金
BSシート作成時の残高を記入します。 - 生命保険
契約時の死亡保障や満期返戻金ではなく、BSシート作成時の現在価値である解約返戻金を記入します。解約返戻金は保険会社から毎年送付される契約内容の一覧などで確認できます。 - 住宅
住宅はBSシート作成時の時価を記入します。自動車を所有している場合は自動車も時価を記入しますが、住宅や自動車の時価はわかりにくいので、不動産業者や自動車販売業者に聞いてみるとよいでしょう。 - その他
株式や債券、投資信託などの金融資産を持っている場合は、BSシート作成時の時価を記入します。
●負債
BSシート作成時のローン残高を記入します。住宅ローン以外のローン(教育ローンや自動車ローン)があれば、同様にBSシート作成時の残高を記入します。
モデルのサトウさんは、純資産がプラス1,339万円となっています。現在保有している預貯金など現金化しやすい資産から老後資金の準備を行うことも可能になります。ただし、サトウさんの場合は預貯金の残高にあまり余裕がないのでこれを取り崩すより、年間収支のプラスになる分を少しずつ老後に向けて積み立てるなどの準備を始めるほうがよいでしょう。
早めに老後資金を準備するメリットは?(次ページへ)