第3号被保険者はお得?(2)~事例で比較
検討が続く「パートと年金」。計算してみると… |
「パートと年金」の問題は検討が進められているところですが、現在の規定では1週間の勤務時間と1ヵ月の勤務日数が正社員の4分の3以上(週30時間以上が目安)あると、パートタイマーでも厚生年金に加入することになります。
それでは、厚生年金に加入して働く場合と加入せずに働く場合で、将来の年金額がどうなるのか事例を使って比較してみましょう。なお、計算を行う条件は以下の通りとします。
・パートタイマーの時給:980円(厚生労働省「平成22年賃金構造基本統計調査」女性パート労働者の平均時給979円より)
・勤続年数:6年(厚生労働省「平成22年賃金構造基本統計調査」女性パート労働者の平均勤続年数5.4年より)
・労働時間:正社員の労働時間を8時間と仮定し、厚生年金に加入する場合は1日6時間1ヵ月20日勤務、厚生年金に加入しない場合は1日5時間1ヵ月14日勤務とする
・その他:給与にかかる税金や雇用保険と介護保険の保険料は考慮せずに比較する。また、賞与はなしとする。年金の加入期間は40年とし、保険料の滞納はない。年金の支給開始は65歳からとする。また、正社員として厚生年金に加入した期間はなく、振替加算も考慮しない。
【事例1】厚生年金に加入して働く場合
1ヵ月の給与
980円×6時間×20日=117,600円
厚生年金の保険料(標準報酬月額を118,000円とする)
118,000円×16.058%(平成22年9月~平成23年8月)×1/2
=9,474円(1円未満切捨て)
健康保険の保険料(標準報酬月額を118,000円とする)
118,000円×9.5%(協会けんぽ全国平均より)×1/2=5,605円
1ヵ月の手取収入(仮)
117,600円-(9,474円+5,605円)=102,521円
老齢厚生年金の支給額
(日本年金機構HPの年金試算シミュレーションより)
年額50,000円(平成23年度額)
老齢基礎年金の支給額
年額788,900円(平成23年度額)
老齢年金の合計額
年額838,900円
(50,000円+788,900円)×24年間=20,133,600円=約2,000万円
【事例2】厚生年金に加入せずに働く場合】
1ヵ月の給与
980円×5時間×14日=68,600円
老齢基礎年金の支給額
年額788,900円(平成23年度額)
788,900円×24年間=18,933,600円=約1,900万円
なお、事例1の6年間の給与総額は厚生年金と健康保険の保険料天引き後で約740万円、事例2の場合は約500万円です。ただし実際は、所得税や住民税、雇用保険や介護保険の保険料もかかることになります。また、将来の年金額をみると、この事例では約5万円の差になります。
第3号被保険者制度は、仕事をしたくても子育てで仕事に出られない女性にとって、うれしい制度です。育児などで働くことができない場合、保険料の負担がなくても将来の年金が保障される制度です。
ただし、パートタイマーとして働いている人も多いという現実を加味すると、第3号被保険者の年金を第2号被保険者全体が支えていることもあり、保険料の負担がないメリットだけで「有利な制度」と判断するのは安易なことかもしれません。
また、今後もパートタイマーの厚生年金適用は検討が続きます。「第3号被保険者の範囲内で」という選択肢もありますが、自分自身の将来の年金額が負担に応じて増えることも考えて、ライフスタイルにあわせた働き方を選択することも必要になるでしょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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