事例で確認~遺族年金
会社勤めの期間は同じも遺族年金に差が?! |
【例2】例1のタナカさんが死亡した場合、妻のカズコさんが受給する遺族年金を計算してみます。
タナカさんは厚生年金の加入期間があり、老齢基礎年金の受給資格を満たしているので、カズコさんは長期要件の遺族厚生年金が受給できますが、加入期間が20年未満なので中高齢寡婦加算は受給できません。また、子どもがすでに成人に達しているので遺族基礎年金は支給されません。ただし、国民年金から支給される寡婦年金※が60歳~65歳まで支給されます。
※寡婦年金
第1号保険者の加入期間が25年以上ある第1号被保険者の夫が死亡し、死亡時に老齢基礎年金や障害基礎年金を受給していない場合、妻(婚姻期間が10年以上)に対して支給される遺族年金。支給額は夫の老齢基礎年金の4分の3。
カズコさんが受給する遺族年金は、以下のとおりです。
※図中の年金額はヒロシさんの老齢年金の金額から計算
カズコさんの遺族年金の請求手続きは、住所地を管轄する社会保険事務所で行います。
カズコさんが受給できる遺族年金は、長期要件の遺族厚生年金なので、実加入期間である10年に対する額になり、少額になります。もし、厚生年金の加入期間が短くても、厚生年金の加入期間中に死亡した場合は、短期要件の遺族厚生年金が支給されるので最低保証があり、25年相当の額になるのでより高額になります。仮にヒロシさんが自営業から会社員になり、厚生年金に加入した10年目に死亡した場合、カズコさんが受給する遺族年金は以下のようになります。
※ヒロシさんの厚生年金加入期間は平成15年4月以降のみ、平均標準報酬額を20万円と仮定して年金額を計算。また、短期要件の遺族厚生年金が支給されるので、300月の最低保障が適用される。
この例の場合、加入期間は同じでも会社員時代に死亡し支給される短期要件の遺族厚生年金と退職後の死亡により支給される長期要件の遺族厚生年金では支給額に差があります
年金以外の社会保障制度の相違点
年金以外の社会保障制度にも、会社員とフリーランス・自営業者では相違点があります。その1つが医療保険制度です。会社員は健康保険、フリーランス・自営業者は国民健康保険に加入しますが、給付の内容や保険料の計算方法が異なります。また、仕事中や通勤途中の病気やけがに対して給付を行う労災保険も会社員とフリーランス・自営業者ではしくみが異なります。会社員は労災保険の保険料を会社が全額負担し、強制加入になりますが、フリーランス・自営業者は原則労災保険は適用にならず、加入したい場合は一定の要件で特別加入という方法で加入します。さらに、会社員は雇用保険に強制加入で、失業した場合などに必要な給付を受けることができますが、フリーランス・自営業者は、雇用保険の対象とはなりません。なお、従業員を使用する場合は、従業員を雇用保険に加入させ、自分も事業主として雇用保険の保険料を負担しなければなりません。
ご案内した通り、年金をはじめとする社会保障制度は職業により適用されるしくみが異なる部分が多く見られます。転職時には手続き漏れがないように注意しましょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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