本当にシングル女性のマンション購入は増えているの?

2014年4月の消費増税前の駆け込み需要から一服、首都圏では9月度のマンション購入契約率が昨年同月比でマイナス12.6ポイントの71.6%に。一方、販売価格は平均4764万円と3カ月ぶりに下落しています(不動産経済研究所、首都圏のマンション市場動向2014年9月度より)。消費税に関しては、来年2015年10月に10%への引き上げが予定されており(2014年11月7日現在未定)、その前に住宅購入をと考えている人も少なくないでしょう。

しかし、マンション価格も需要と供給。もしも駆け込み購入が再燃すれば、8%への増税後の現在のように、価格は一段下がる可能性もあります。つまり、消費増税は注視すべきことですし、余計な出費を防ぎたいという気持ちもわかりますが、本当に今、自分がマイホームを購入すべきかどうかを問い直すのには、いいタイミングといえるのではないでしょうか。

最近、シングル女性、特に40代女性のマンション購入に関して、さまざまな記事を目にすることが多くなりました。確かに、景気が低迷していても消費行動をけん引しているのは彼女たちです。限られた収入のなかで、生活をエンジョイする術を持っていると言えるでしょう。その一方で、堅実なお金の使い方をしているのもこの年代の特徴かもしれません。

実のところ、シングル女性のマンション購入率が右肩上がりというわけではありません。リクルート住まいカンパニーが毎年行っている「首都圏新築マンション契約者動向調査」によると2013年の契約者全体に占めるシングル女性は5.4%(男性6.0%)と昨年(5.7%)と比べてもそれほど大きく変化したわけではありません。契約者数自体が昨年から増加しているので、それを加味すると、全体で対前年で121%の伸びなのに対して、シングル女性は同116%でした。

昨年の消費増税前の駆け込み需要の主体は、実はファミリー層(それも子どもありの世帯)だったのです。あたかも、シングル女性の「おひとりさま」化が進み、マンション購入に走っているような印象がありますが、「おひとりさま」を意識しているからこそ、住宅購入に関しても慎重な行動をとっているのでは?と筆者は考えをあらたにしました。


契約者全体に対するシングル男性、女性の割合。※(株)リクルート住まいカンパニー『2013年首都圏新築マンション契約者動向調査』のデータよりグラフを作成

契約者全体に対するシングル男性、女性の割合。※(株)リクルート住まいカンパニー『2013年首都圏新築マンション契約者動向調査』のデータよりグラフを作成


シングルだから、女性だからではない。住宅選びのポイントは普遍である

もしも、あなたがシングル女性で、これから住宅購入を検討しているとしたら、「シングル」「女性」をいったん忘れてください。住宅選びはシングルならこう、女性ならこう、という選び方は存在しないのです。

「え?」と驚かれるかもしれませんが、これから購入する住まいは「終の棲家」になるかもしれませんが、これから何十年も生活に変化が訪れない人はいないでしょう。

今シングルでも結婚するかもしれませんし、転職の機会が訪れ、転居の必要性が出てくるかもしれません。もし何か変化が起きたときに、住まいが固定されてしまうことは、人生の選択肢を狭めてしまうことになります。せっかく買った我が家ですから長く住みたい、一生住める家をと考えるのは当然ですが、売却や賃貸に出すことで、変化に対応できるとしたら、住宅も一生ものではない、と考えたほうがいいのです。

そうなると、今シングルで購入しようとしている住宅は、はたして汎用性のある住宅なのか、という観点が大切になってきます。まさにシングル女性をターゲットにしたマンションも多く存在します。駅から近くて便利、セキュリティーがしっかりしているといったメリットがありますが、その一方で、こうしたコンセプトマンションのデメリットを理解しておく必要があります。

たとえば……
・同じような立場の人が多いので、管理組合の運営がうまくいかない
・40、50平方メートルとコンパクトなのはよいが、税制上のメリットを受けられないケースもある
・駅から近い=繁華街、交通量が多いので、ファミリー層には不向き
・シングル向けでターゲットが絞られている分、売却がスムーズにいかない
などが挙げられます。

もちろん購入するときは、自分にとって居心地がよく、生活パターンに合っている物件かどうかは、重要な選択のポイントです。でもそれはファミリー世帯にとってはどうか、という観点も忘れないほうがいいでしょう。あえてターゲットを絞り込んだ物件よりも、市場価値が高いもの、賃貸ニーズが高いもの、流動性が高いものという考え方をすれば、「シングル女性だから」という住まいの選び方はない、というのもおわかりいただけるでしょう。

女性向け住宅ローンにも注意。金利優遇以外のサービスは本当に必要?

住宅ローンの選び方も基本的にはファミリーもシングルも変わりはありません。現在の金利状況では変動金利を選択して、随時繰り上げ返済していくというのもアリ。長期にわたり返済額が変わらない安心感を得たいなら10年固定金利や、フラット35もアリ。どういうタイプを選ぶにしても、気を付けないといけないのは、頭金を購入額の2割程度は用意し、過剰なローンを抱えないようにすること。

シングルの場合は、もし自分が病気やけがで働けなくなった場合、家計を助けるパートナーがいない分、より慎重になる必要があります。ファミリーであっても、それは同じことですが、シングルなら、より堅実な返済計画を立て、無理のない返済額かどうかは、重要なポイントとなります。

そこで、注意してほしいのは「女性向け住宅ローン」。シングル女性の堅実な返済を意識して、一部の金融機関では「女性向け住宅ローン」を取り扱っています。確かにひと昔に比べたら、シングル女性でも住宅ローンを借りやすくなってきましたが、まだ審査が厳しい銀行があるのも事実。そうした状況を踏まえて、頭金が少なくてもOK、派遣など非正規雇用でもOKなど、女性に優しい住宅ローンが増えています。

しかし、借り入れの条件を緩くすることが、はたして女性向けなのでしょうか。自分の収入、頭金に照らし合わせて、返済可能かどうか、という観点は絶対に忘れないでください。また、医療保険が付随していたり、家事代行サービスが受けられたりといった特典がついているケースもありますが、保険は別途自分で用意する、家事代行は本当に必要なのかどうか、と冷静に判断してほしいものです。

女性向け住宅ローンのなかで、ほんとうにうれしい特典のある商品を参考までにご紹介しておきましょう。いずれもインターネット経由のプランと金利に差はありませんが、りそな銀行では融資手数料が女性専用ローンでは割安に、住信SBIネット銀行では30万円のガン診断給付金がもらえる保険に保険料負担なしで加入できる、といった特典があります。

まずは、複数の金融機関の住宅ローン金利を比較して有利な住宅ローンを利用し、そのうえで特典を比較するというのが、賢明な住宅ローン選びといえるでしょう。

女性向け住宅ローンの例

女性向け住宅ローンの例


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