マネープラン/子育て世代のためのマネープラン

理系vs文系 本当に得なのはどっち?(2ページ目)

理系と文系、年収がが高いのはどっち? 昇進が早いのは? 人生は損得だけじゃ決められないとはいえ、ちょっと気になるテーマを比較! あなたは、自分のこれからをどうやって創っていきますか?

やがら 純子

執筆者:やがら 純子

マネープラン入門ガイド

  • Comment Page Icon

理系のほうが高収入という調査も

理系のほうが高収入という結果も

理系のほうが高収入という結果も

この「理系か文系かと、収入との関係」については、同志社大学の浦坂純子教授が長く研究されています。2009年~2010年に行った調査では、人事院のデータとは異なり、理系のほうが高収入と言う結果が出ました。

■男性(回答者の平均年齢は文系・理系とも約46歳)の年収は、文系出身者の平均値が559.02万円、理系出身者は600.99万円で、理系出身者の方が高くなっている。
■女性(平均年齢は文系44歳、理系37歳)の年収は、文系出身者の平均値が203.02万円、理系出身者は260.36万円。平均年齢が7歳ほど低い理系出身者の方が高くなっている。

しかし、浦坂教授らの研究のたいへん興味深い点は、ほかのところにあるのです。

文系出身者にも求められる、「数学」の力

数学なんて役に立たない、は嘘

数学なんて役に立たない、は嘘

浦坂教授らが2000年から2001年にかけて、3つの私立大学(いずれも偏差値60以上)の社会科学系学部の出身者を対象に調査を行いました。(回答数1803人、23歳~57歳、9割が男性)。高校までの得意科目や現在までに役立った科目、自分の子や孫に熱心に勉強して欲しい科目などを尋ねました。

その結果、同じ文系出身者でも、『平均年収を対比させると、社会が得意だった人の660万円に対して、数学が得意だった人は737万円であり、明らかに数学に軍配があがりました』。

また、自分が数学が不得手だった人の中にも、その後の人生で数学が役に立ったと答えている人が多いこと、子や孫に熱心に学んでほしい科目にも数学を挙げる人が多いこともわかりました。子や孫に望んでいるところに、浦坂教授は「ここに本音がみえる」としています。文系出身者のみなさん、「ああ、確かに!」と思いませんか?

この調査結果は、理系と文系ではどっちが高収入かという話ではなく、大学入試制度のあり方に問題があることを示していると言えるでしょう。「私は私立文系の日本史選択だから数学は捨てる」という高校時代の”合理的な”判断が、その後のその人生にとってプラスにはならないことが分かります。

参考:
読みやすくまとまっています。
「文系・理系どっちが得か ―所得比較を中心に-」
同志社大学社会学部 浦坂純子 (「通信ソサエティマガジンNo.28 2014春号」)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/7/4/7_256/_pdf

「理系出身者と文系出身者の年収比較 -JHPSデータに基づく分析結果-」 同志社大学 浦坂純子ほか (独立行政法人経済産業研究所)
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/11j020.pdf#search='%E7%90%86%E7%B3%BB+%E6%96%87%E7%B3%BB+%E5%B9%B4%E5%8F%8E'

どう生きたいのか、が大事

どっちが金銭的に得か、ということでこの記事を書きましたが、人生の道を選ぶときの決め手は、そんなところにはありませんよね。進路を決めるときには悩むものですが、理系の道も文系の道も、本人がその気になればいかようにも変えられる、というよりも合流させられるものではないでしょうか。

転職する時には、学歴よりも職歴、経験や実績が重視されますから、もはや理系も文系もありません。若輩者が生意気なことを書いて恐縮ですが、実際の仕事の現場で必要とされるのは、営業的センスをもった技術者、客先の技術者とも会話ができる営業マンなど、理系と文系両方のセンスをあわせもった人ではないで しょうか。

「好きなほうを選ぶ」。

結局は、これに尽きます。お金目的で興味のないほうを選んでも、勉強が苦痛になるだけですし、無事に卒業して就職してもその分野で順調にキャリアアップできるとは思えません。反対に、たとえキャリアアップが出来そうになくたって、その仕事が好きならそれでよいともいえます。管理職への昇進や転職のチャンスがきても、「私はこの現場が好きだ」だといって一生技術者であり続ける……。そんな生き方もかっこいいと思います。
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/11/30まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます