理系のほうが高収入という調査も
理系のほうが高収入という結果も
■男性(回答者の平均年齢は文系・理系とも約46歳)の年収は、文系出身者の平均値が559.02万円、理系出身者は600.99万円で、理系出身者の方が高くなっている。
■女性(平均年齢は文系44歳、理系37歳)の年収は、文系出身者の平均値が203.02万円、理系出身者は260.36万円。平均年齢が7歳ほど低い理系出身者の方が高くなっている。
しかし、浦坂教授らの研究のたいへん興味深い点は、ほかのところにあるのです。
文系出身者にも求められる、「数学」の力
数学なんて役に立たない、は嘘
その結果、同じ文系出身者でも、『平均年収を対比させると、社会が得意だった人の660万円に対して、数学が得意だった人は737万円であり、明らかに数学に軍配があがりました』。
また、自分が数学が不得手だった人の中にも、その後の人生で数学が役に立ったと答えている人が多いこと、子や孫に熱心に学んでほしい科目にも数学を挙げる人が多いこともわかりました。子や孫に望んでいるところに、浦坂教授は「ここに本音がみえる」としています。文系出身者のみなさん、「ああ、確かに!」と思いませんか?
この調査結果は、理系と文系ではどっちが高収入かという話ではなく、大学入試制度のあり方に問題があることを示していると言えるでしょう。「私は私立文系の日本史選択だから数学は捨てる」という高校時代の”合理的な”判断が、その後のその人生にとってプラスにはならないことが分かります。
参考:
読みやすくまとまっています。
●「文系・理系どっちが得か ―所得比較を中心に-」
同志社大学社会学部 浦坂純子 (「通信ソサエティマガジンNo.28 2014春号」)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/7/4/7_256/_pdf
●「理系出身者と文系出身者の年収比較 -JHPSデータに基づく分析結果-」 同志社大学 浦坂純子ほか (独立行政法人経済産業研究所)
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/11j020.pdf#search='%E7%90%86%E7%B3%BB+%E6%96%87%E7%B3%BB+%E5%B9%B4%E5%8F%8E'
どう生きたいのか、が大事
どっちが金銭的に得か、ということでこの記事を書きましたが、人生の道を選ぶときの決め手は、そんなところにはありませんよね。進路を決めるときには悩むものですが、理系の道も文系の道も、本人がその気になればいかようにも変えられる、というよりも合流させられるものではないでしょうか。転職する時には、学歴よりも職歴、経験や実績が重視されますから、もはや理系も文系もありません。若輩者が生意気なことを書いて恐縮ですが、実際の仕事の現場で必要とされるのは、営業的センスをもった技術者、客先の技術者とも会話ができる営業マンなど、理系と文系両方のセンスをあわせもった人ではないで しょうか。
「好きなほうを選ぶ」。
結局は、これに尽きます。お金目的で興味のないほうを選んでも、勉強が苦痛になるだけですし、無事に卒業して就職してもその分野で順調にキャリアアップできるとは思えません。反対に、たとえキャリアアップが出来そうになくたって、その仕事が好きならそれでよいともいえます。管理職への昇進や転職のチャンスがきても、「私はこの現場が好きだ」だといって一生技術者であり続ける……。そんな生き方もかっこいいと思います。