消費者金融の長期利用者に朗報!?
金利差を利用しはじめたときからさかのぼって計算する、ここに問題が生じていました。すべての業者がどのケースにも、というわけではありませんが、取引履歴を完全に開示しないということが多々あったのです。貸金業法や金融庁の事務ガイドラインで、業者が履歴開示することを定めてはいましたが、開示義務の定めではない、行政上の監督に関する方針であるなどの論点や解釈の違いにより、開示を拒否するのです。
なんだかんだ難しい議論を言っても完全開示しない(したくない)ワケは、金利の引き直しによって、債務額が減るとか無くなる、もしくは過払い(払い過ぎ)で逆に返金することになるかもしれない、ということだと思います。
初めて借りたときの契約書などがあれば問題ないのですが、それらがなく、業者から取引履歴が出ないとなると、いくらの債務があるのか正確に把握できません。また取引が長期に渡る場合などは、今まで利用したときに出る明細書をすべて持ち合わせていることは、まずあまりないことです。そのため不開示は、債務者にとって大きな不利益を被る場合もありました。
そのような現状に、取引履歴開示は「義務」で慰謝料の「損害賠償義務の発生」も認める判例が出たのです。今後の債務整理の現場に波紋を起すのでしょうか?
今後の「現場」は一変するのか?
債務整理を得意分野とする弁護士や司法書士、十数人とこの判決で今後の債務整理の現場にどう影響しそうなのか話してみました。すると、確かに借り手にとって救済につながる判決で前進はしたけれど「これをきっかけに総合的に変わらないとダメ」「今までトラブルになっていた問題が一変するとは思えない」という今後を懸念する意見も意外と多く聞こえてきました。
専門的なことになりますが、判例を基に貸金業法および事務ガイドラインの見直しと変更・罰則規定の追加、各貸金業者の解釈の問題、裁判に持ち込もうとする直前まで取引履歴を完全開示しない業界体質などが気になるとの意見もでました。
これまで判断が分かれていた問題に結着をつける格好となった最高裁の判決、ですが実際に今後どう影響するのか楽観はできないようです。ともあれ、前向きにこれからの生活を再生させようとしている方にとって、借金問題をしっかり解決するための一因になって欲しいと感じました。
テレビニュースで取り上げにくい現実!?
余談ですがこの最高裁判決の件で、不公平さや世の中の歪みみたいなものを改めて感じてしまいました。世間に関心深いことなのに、なぜテレビなどのビックメディアではあまり報道されないのでしょうか。テレビをつければ大手消費者金融のCMがしきりに流れ、そこに出演した女性タレントが一気に知名度や人気が上がるほどです。莫大な広告料を払っているスポンサーということです。
そのテレビ局側の立場からでは、正しくこのニュースを伝えられないことを残念に思ってしまいました。これでは、知りたくても気付かないことが多いのではないでしょうか。
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