取引履歴開示が義務付けられると、どう変わるのだろう? |
消費者金融に取引履歴開示の義務 ~最高裁が示した初判断
最高裁判所から、このような要旨の判決が下されました(平成17年7月19日)。『貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、特段の事情のない限り、信義則上これを開示すべき義務を負う』
取引履歴の開示拒否は違法で、開示しない場合は損害賠償義務を負うという、最高裁が初の判断を示したのです。今まで各地の地裁や高裁で判断が分かれていた問いに、結着をつける判決となりました。
借りている仕組みと実情を知る
ただこの判決を知っても、ピンとこないと思いますので、まずは貸し付けの実情を具体的にみていきましょう。例えばあなたが、消費者金融会社から借り入れをしていたとします。
テレビでしきりにCMを流している大手でも、街の中小会社でもどこでも構いません。その貸付金利は25.5~29.2%(年利)あたりでしょう。これは利息の上限を制限する「出資法」という法律で、29.2%以上の利息をとってはいけないとなっているからです(日掛け金融を除く)。
しかし、もう一つの利息上限を制限する法律「利息制限法」では、貸金元本が10万円以上100万円未満であれば年利18%が上限とされています。こちらでもその上限を超えて利息を取ってはいけないとしているのです。
*この「出資法」と「利息制限法」について詳しくは、「2つの法律が引き起こすマジック 借金は減額できるの!?」をご参照ください。
おかしいですね。どっちを守るのが? と思ってしまいますよね。
本来は強制法規である、上限利息の低い方の「利息制限法」を守るべきなのです。
ではなぜ利息制限法ではなく、出資法に標準をあわせているのでしょう?
それは「貸金業の規制等に関する法律」(いわゆる貸金業法)第43条、通称「みなし弁済規定」で一定の条件を満たせば、たとえ利息制限法を超える金利であっても、出資法の上限金利範囲内ならば高い金利を取っても良いとする例外的な規定を前提としているため、29.2%付近の金利で貸し付けているのです。
ですが実際、返済に窮して借金を整理するとなれば、みなし弁済規定の要件を満たしている業者はほとんどなく、結局、金利差を利用しはじめたときからさかのぼって計算しなおすことになります。