相談者に望むこと、「二度と繰り返さないで!」 |
ガイド:
借金整理に大切なことは何だと思いますか?
高橋:
大切なことは、「まず一歩踏み出すこと」で、その後必要となるのが「覚悟」だと思います。
現在多重債務で悩んでいる方は「この先どうなるのだろうか」と非常に不安な気持ちでいっぱいだと思います。そこにあまり他人に知られたくないという気持ちが加わって誰かに相談することすらためらっている、そんな方が大勢いらっしゃるのではないしょうか。
でもとにかく、どんな形でも良いので債務を整理するために何か動き出せば、必ず次になすべきことが見えてきたりするものなのです。
また、やはり「覚悟」も必要となります。借金問題というのは必ず解決する方法があります。しかしながら何も失うことなく、終わらせることは不可能です。
弁護士・司法書士を介入させた場合、いわゆるブラックリストに載ることは避けられませんし、連帯保証人がいたとしたらその協力ないし理解を得ることが不可欠です。そういう意味でそれらの不利益を受け入れる「覚悟」はどこかの時点でしてもらわなければなりません。
しかし、たとえ何かを失ったとしてもそれで終わるわけではありません。取り戻すことはできないにしても、それを補う「工夫」というのがあるものなのです。
ガイド:
相談者に「これだけはやめてくれ!」と思うことは?
高橋:
自分にとって都合の悪い事実を隠すことでしょうか。これは相談者の側だけの責任ではないと思うのですが、後々大きな軌道修正を必要とするかも知れないので、まずはすべて伝えるという気持ちで相談に臨んでいただきたいです。
ガイド:
金融機関・貸金業者に言いたいこと、思うことはありますか?
高橋:
金融業というのはお金を貸して利息を取るというのが仕事ですし、利益を上げていくためにはお金を貸し続けなければならない。無担保で貸すのだから利率を高くしなければ割に合わない。それらの点は理解できます。
しかし債務整理に携わる者からすると、経済状況が悪化している状態の中、高利で借りてさらに経済状況が悪化するという経過ばかり見せられるので、どうにかならないものだろうかと考えさせられます。
ガイド:
私は借金=悪だとは思っていないのですが、「良い借金」と「悪い借金」の差はどこだと思いますか?
高橋:
「良い」「悪い」というよりも危険が「大きい」「小さい」ということだと思います。
高利や保証人がつくということであれば危険が大きいですし、「借金を返すために借りる」というのであればもっと危険が大きい。
「良い」「悪い」は結果論ですよね。つまり、どんなに順調に支払っていた「良い借金」であっても、病気や事故で支払ができなくなって保証人に迷惑をかけたり、破産にまで至ってしまえば「悪い借金」であったと評価することになるかもしれない。
当然といえば当然なのですが、「危険が大きい借金」ほど「悪い借金」と後になってから評価される可能性が高いということだと思います。
ガイド:
先生が業務上、大切に思っていることはどのようなことですか?
高橋:
債務整理の相談に来るような方は、今までの生活の中で相当悩んできた方が多いので、まず相手の話を聞いて受けとめてあげたいと思っています。
あとは本人に債務整理をしたことが今後のための良い勉強になったと思えるようになってもらいたいのですが、私の方こそ勉強しなければならないことがたくさんあります。
ガイド:
今後、借金整理業務をしていくうえで、展望や目標のようなものなどありますか?
高橋:
先ほどの繰り返しになりますが、依頼者には二度と多重債務に陥ってもらいたくないので、いかに本人の意識改革を促すかという面で心理カウンセリングの要素も取り入れていければと考えています。
ガイド:
なるほど、すばらしいですね。これからもがんばってください。どうもありがとうございました。
●今回ご協力いただいた司法書士
「高橋雅幸司法書士事務所」代表 認定司法書士 高橋 雅幸 氏
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