住宅購入のお金/住宅購入と住宅ローンの基本

変動金利は本当に危険なのか?(3ページ目)

“変動金利は金利が上昇すると未払利息が発生するのでお勧めではありません!”といわれることがありますが、本当にそうなのでしょうか? 今回は具体的な事例をもとに、検証をしてみたいと思います。

村元 正明

執筆者:村元 正明

住宅にまつわるお金ガイド

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変動金利と全期間固定金利の比較

今度は変動金利と全期間固定金利を比較してみましょう。

金利上昇による返済額増加リスクを回避する場合、適用金利が3%前後以下の低金利であれば全期間固定金利を選択することがもっと賢明といえるでしょう。しかし、次の事例のように、今後の金利の上昇幅が1.5%以内のうちであれば、返済額を比較すると変動金利が有利なのも事実です。

住宅ローンの借入金額3,000万円、返済期間35年、元利金等返済、ボーナス返済なしとします。

全期間固定金利の金利を3.1%とすると、毎月返済額は11.7万円となります。

変動金利の基準金利を2.625%、優遇金利を全期間1%とします。借入してから当初3年間、毎年0.5%ずつ上昇し、4年目以降は3年目の適用金利3.125%で一定とすると毎月返済額は次のとおりです。

 当初5年間  9.4万円
 6~10年   11.7万円
 11年目以降 12.1万円

このように、変動金利の適用金利が全期間固定金利を超えるまでは、毎月返済額は全期間固定金利より少なくなります。金利上昇による返済額増加リスクを回避するのであれば多少返済額が多くても全期間固定金利が有利ですが、全期間固定金利の適用金利よりも低い金利であれば、変動金利のほうが有利ともいえます。

変動金利の特徴を理解できれば危険ではない!

変動金利はよくいわれているように未払利息が発生するデメリットがありますが、金利が急激に上昇しても返済額に上限があることや、低金利であれば返済額を少なくできるメリットがあるのも事実です。

また、変動金利の適用金利を1.625%、全期間固定金利の金利を3.1%と置き、日本銀行による政策金利の引き上げ幅をこれまでどおり1回あたり0.25%とすると、合計6回の利上げが実施されるまでは、変動金利のほうが返済額は少なくなります。

ただし、返済期間が最低でも10年以上かかることを考えると、金利が急上昇することが絶対ないといいきることは不可能です。

そこで、変動金利を選択する場合は、全期間固定金利とミックスしたり、金利が上昇して返済額が増えても、返済額の見直し時に繰上返済をすることで返済額の増加を抑えることができるので、そのための預金をシッカリと行っておく必要があります。

大切なことは、住宅ローンの金利にはそれぞれメリット・デメリットをがあるので、一般的な評価に惑わされず、自分自身の今後の家計や返済計画によって、どの金利タイプがよいかが違ってくることをまずは理解することです。

また、事前にいろいろなシミュレーションを行って金利を選択するだけでなく、返済が始まったあとも定期的にメンテナンスを行いましょう。

住宅ローンの本当の危険性は、金利上昇による変動金利での未払利息などではなく、次の2つであることも理解しておきましょう。

■危険性1
住宅ローンの金利の仕組みを知らないこと

■危険性2
金利が上昇した場合の対処方法を事前に検討していないこと

【関連記事】必見! 住宅ローン金利の本当の決まり方
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