住宅購入のお金/住宅購入と住宅ローンの基本

変動金利は本当に危険なのか?(2ページ目)

“変動金利は金利が上昇すると未払利息が発生するのでお勧めではありません!”といわれることがありますが、本当にそうなのでしょうか? 今回は具体的な事例をもとに、検証をしてみたいと思います。

村元 正明

執筆者:村元 正明

住宅にまつわるお金ガイド

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変動金利と固定金利選択型の比較

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変動金利の仕組みをよく理解しておけば、未払利息が発生しても危険ではありません!
変動金利と固定金利選択型の比較をシミュレーションで具体的に行うために、現在の基準金利について次のようにします。

【条件】
・変動金利 2.625%
・固定金利選択型 3年固定 3.3%
・固定金利選択型 10年固定 3.8%

ちなみに基準金利とは優遇金利が適用される前の住宅ローンの金利で、この金利をベースに優遇金利が適用されて、最終的に住宅ローンの適用金利が決定されます。基準金利は店頭金利とも呼ばれています。

また、優遇金利については、次のようにします。

【条件】
・変動金利 
  全期間基準金利から1%優遇
・3年固定
  当初3年間は適用金利2%、残存期間は基準金利から全期間0.4%優遇
・10年固定
  当初10年間は適用金利2.2%、残存期間は基準金利から全期間0.4%優遇


今後の金利の予想は不可能ですが、わざと変動金利で未払利息が発生するようにするため、今回は借入してから毎年1%ずつ上昇して、4年後に金利が一定になるという前提でシミュレーションを行ってみます。

毎年1%ずつ上昇して、4年後は金利が一定になるとすると、基準金利の動きは次のようになります。

・変動金利
 1年後3.625%、2年後4.625%、3年後5.625%、4年後6.525%
 適用金利は基準金利から全期間1%優遇されるので次のようになります。
 1年後2.625%、2年後3.625%、3年後4.625%、4年後5.525%

・3年固定
 3年後の金利見直し時の金利は 3.3%+1%×3年=6.3%
 その次の金利見直し時(6年後)の金利は 5.3%+1%=7.3%
 適用金利は基準金利から0.4%優遇されるので次のようになります。
 3年後5.9% 6年後以降6.9%

・10年固定
 10年後の金利見直し時の金利は 3.8%+1%×4年=7.8%
 適用金利は基準金利から0.4%優遇されるので次のようになります。
 10年後 7.4%

ここで、住宅ローンの借入金額を3,000万円、返済期間を35年、元利均等返済、ボーナス返済なしとします。毎月返済額について比較してみます。

・変動金利を選択した場合
  当初5年間 9.7万円
  6~10年間 11.7万円
  11~15年間 14.6万円
  16~20年間 18.3万円
  21年目以降 21.7万円

・3年固定金利を選択した場合 (3年固定金利を選択し続ける)
  当初3年間 9.9万円
  4~6年間 16.3万円
  7年目以降 18.1万円

・10年固定金利を選択した場合 (10年固定金利を選択し続ける)
  当初10年間 9.9万円
  11年目以降 19.1万円


今回のように借入してから4年間毎年1%上昇して5年目以降金利が一定という急激な金利上昇という条件のもとでは、変動金利を選択すると、確かに未払利息は合計で約190万円発生するのも事実です。

一方で返済額をみてみましょう。

変動金利の返済額は、5年に1回の返済額の見直しをするときに、これまでの返済額の1.25倍が上限というルールがあるので、急激に金利が上昇しても、返済額は急激に増えることはなく、どのくらい返済額が増えるか上限を事前に予想することができます。

しかし、固定金利は金利固定期間が終了した時点での金利が適用されるので、未払利息が発生しない代わりに、返済額が急激に増えることになり、場合によっては返済ができなくなるくらい返済額が増える可能性も否定できません。

次のページでは、変動金利と全期間固定金利との比較を行い、最終的に変動金利のメリット・デメリットについてまとめてみたいと思います。
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