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年金未納で破綻はしないが、破綻する!?(4ページ目)

年金保険料を未納する人がいても制度が破綻しないことが明らかになりました。しかし、「信頼」が破綻したり、しわ寄せが起きるのは無視できません。ちょっと整理してみましょう。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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未納対策の決め手、いくつか

さて、財政的には破綻はしないけど、制度の根幹を破綻させかねない「未納」の問題は厄介なテーマです。現在、未納対策はなかなかうまくいかないとされていますが、実は根本的に改善をする方法がいくつかあります。最後にそれを紹介したいと思います。

○本来免除される低所得者対策の徹底
国民年金には、低所得者が手続きをすることで全額免除したり一部免除をする制度があります。しかし、こうした免除制度は十分に利用されていません。たとえば、全額免除される年収(3人世帯の場合127万円)以下であって手続きさえすればいい人が未納者の28.9%、一部免除される対象でありつつ手続きをしていない人が未納者の32.0%もいるのです。
要するに約6割の未納者は所得も低いため、なかなか保険料を納めることができない人ということですが、手続きさえすれば免除者になれるわけです。
今の仕組みでは、国が勝手に免除手続きをすることはできないとされており、書類を本人に送り、本人が手続きをしない限り免除者になることはできません。お知らせ等はしていますが、本人の手続き待ちになるわけです。
仮にこうした人たちについて、自動的に手続きが完了するとすれば、なんと未納者は半減することになります。できれば法律改正で早く実現してほしいところです。

○そもそも未納がシステム上できない制度への移行
根本的な問題として「未納したい人が未納できる」システムそのものを見直す方法も考えられます。そのひとつが保険料方式から税方式への移行です。よく消費税がその受け皿として紹介されますが、消費税でなければいけないわけではありません。少なくとも税金にすることで、「払いたくない人からも払ってもらう」システムへ変えることができるわけです。
また、保険料方式でも、天引きの場合、会社が強制的に保険料を徴収しているわけなので、保険料方式が必ずダメというわけでもありません。確定申告、あるいは毎月のバイト代などから天引きするシステムにすれば、かなりの人の保険料を確実に納めてもらうことができるでしょう。このあたりは支払い方の見直しとして検討の余地がありそうです。(ただし、これでは無収入の人についてはカバーしにくいのが難点です)


今回は年金制度の「未納問題」と「破綻問題」について考えてみました。「未納=破綻」ではないけれど、未納は制度の破綻と密接な関係があります。来年に向けた年金改正の検討において、大きな議論となりそうですが、実効性がある制度の見直しを行ってもらいたいものです。
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