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光市母子殺害事件死刑判決について考える

世間の注目を浴びているこの事件、誰が見ても凶悪事件であることは間違いありませんし、死刑判決もやむを得ないかもしれませんが、もう少し元少年側に焦点をあてた冷静な報道があっても良いと思います。

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山口県光市で起きた母子殺害事件で、被告人の元少年に死刑判決が言い渡されました。今回は、この事件について私が個人的に思うことを書いてみました。

事件の概要(判決の認定による)

判決の認定よれば、元少年(犯行当時18歳1ヶ月)は中学3年生のころから性行為に強い関心を抱き、早く性行為を経験したいとの気持ちを強めていきました。高校卒業後、地元の配管工事の会社に就職しますが、すぐに欠勤するようになり、事件当日の朝も欠勤して友人と遊ぼうと考え、会社の作業服を着用し出勤を装って自宅を出ました。友人宅でゲームをした後、いったん自宅に戻って昼食をとり、再び自宅を出ました。元少年は強姦によってでも性行為をしたいという気持ちが生じ、自宅のある団地内のアパートの10棟から7棟にかけて、排水検査の作業員を装って戸別に訪ね、若い主婦が留守を守る居室を物色して回り始めました。

こうして被害者宅に至り、被害女性(当時23歳)に信用されたのに乗じて室内に上がり込み、被害女性が若くてかわいかったことから、強姦によってでも性行為をしたいという気持ちを抑えきれなくなり、被害女性のすきを見て背後から抱きついたところ、激しく抵抗されました。そこで元少年は、必死に抵抗する被害女性の首を両手で強く絞め続けて殺害したうえ、万一の蘇生(そせい)に備えて、布テープを用いて被害女性の両手首を緊縛したり鼻口部をふさいだりし、カッターナイフで下着を切り裂くなどして姦淫を遂げました。

この間、被害児(当時生後11ヶ月)が被害女性にすがりつくようにしてはげしく泣き続けていたのですが、元少年は全く意に介さず、それどころか、泣き声を付近住民が聞きつけて犯行が発覚することを恐れ、また、被害児が泣き止まないことにも腹を立て、被害児を床にたたきつけるなどした上、なおも泣きながら母親の遺体に這い寄ろうとする被害児の首にひもを巻いて締め付けて殺害しました。

死刑適用基準について

誰が聞いても残酷な事件であり、元少年に対する死刑判決は当然だと評価できるでしょうが、過去の裁判例を見ると、これまで、このようなケースでは死刑を回避し、無期懲役となることが多かったといえます。

1983年に最高裁が示した死刑適用基準(永山基準)によれば、(1)犯罪の性質(2)犯行動機(3)犯行態様、特に殺害方法の執拗(しつよう)さ、残虐さ(4)結果の重大さ、殺害被害者数(5)遺族の被害感情(6)社会的影響(7)犯人の年齢(8)前科(9)犯行後の情状、をそれぞれ考察し、その刑事責任が極めて重大で、罪と罰の均衡や犯罪予防の観点からもやむを得ない場合に死刑が許されます。

この事件では、元少年の犯行時の年齢が18歳と1ヶ月であり、少年法51条1項によれば、18歳未満の少年には死刑を科すことができないと定めていること、最高裁の示す死刑適用基準でも、犯人の年齢が考慮すべき要素として挙げられていることからして、死刑を回避すべきで事案ではないかという点が争われました。

更新日:2008年04月28日

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