暮らしの歳時記

「寝正月」は幸福のもと・早起きは“貧乏”のもと!? 元日は“朝寝坊”してゴロゴロ過ごして縁起かつぎ!

「寝正月」とは、お正月にどこにも出かけず家でゆっくり過ごすこと。「朝起き貧乏、寝福の神」ということわざもあるように、寝正月はじつは理にかなっているのです。寝正月の意味・由来や、お正月の過ごし方について解説します。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

寝正月の意味と由来を知っておこう

どこにも出かけず家でごろごろして過ごす「寝正月」

どこにも出かけず家でごろごろして過ごす「寝正月」

寝正月は良いのか、悪いのか――「朝起き貧乏、寝福の神」ということわざもあるように、寝正月は実は理にかなっていて、昔は当たり前のことだったようです。そのため、元日に人の家を訪問するものではないといわれています。寝正月の意味・由来について解説します。

<目次>

 「寝正月」とは? 意味や季語の使われ方

寝正月とは、お正月にどこにも出かけず家でゆっくり過ごすことをいいます。また、病気で寝ている場合も縁起をかついで寝正月といいます。
 
また、寝正月は新年の季語になっています。

<俳句の一例>
  • 霞む日も寝正月かよ山の家/小林一茶
  • 次の間に妻の客あり寝正月/日野草城
  • 人々のなさけを謝して寝正月/山口青邨
  • 目出度さや老いて互に寝正月/高浜虚子

昔は当たり前のことだった!? 寝正月の由来

大晦日は寝ないで年神様を迎えたので、元日はゆっくり寝るのが当たり前でした

大晦日は寝ないで年神様を迎えたので、元日はゆっくり寝るのが当たり前でした

「寝正月」という言葉にどんなイメージをお持ちでしょうか? 現代はややネガティブなイメージを持つ方が少なくないと思いますが、昔は違いました。
 
昔は、元日はゆっくり寝るのが当たり前だったのです。大晦日には寝ないで年神様を迎える風習があり、寝てしまうと白髪やシワが増えるとされ、それを防ぐ対処法までありました。

▷詳しくは、「大晦日に早く寝ると白髪やシワが増える」の言い伝えの意味と対処法 をご覧ください。

大晦日に寝ないで年神様を迎えれば、当然元日は眠くなってしまうので、寝正月が一般的だったのです。「朝起き貧乏、寝福の神」(元旦の早起きは貧乏のもとで、朝寝坊は幸福のもとである)ということわざもあります。
 

寝正月にもけじめが必要

しかし、ずっと寝てばかりいても良いわけではありません。正月二日に早起きすれば、一年中早く起きられるといわれ、元日は寝正月を決めこんでも、2日からは早起きをしてけじめをつけていたのです。
 
江戸の商家では、大晦日は集金精算や初売りの準備で大忙しで、元日は休業、2日に初売りをしていました。現在は年中無休の店が増えましたが、静かな元日をはさんで、新たな気持ちで始めるのが商家の慣わしだったのです。
 

元日に人の家を訪問するものではない

元日に他人の家を訪問するのはマナー違反といわれています

元日に他人の家を訪問するのはマナー違反といわれています

寝正月って、じつは理にかなっているんですね。今でも、“元日に人の家を訪問するものではない”と言われるのは、元日は家(家族)でのんびり過ごす日とされているからです。年始の挨拶に行きたいときは、事前に約束しておきましょう。
 
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