企業のIT活用

人工知能が人間を超えるのはいつ(2ページ目)

先日、世界で初めてコンピュータが人間のプロ棋士に勝ったというニュースが飛び込んできました。いよいよ人工知能が人間の能力を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)が迫っています。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

ディープラーニング(深層学習)とは

ディープラーニングで画像から猫を認識

ディープラーニングで画像から猫を認識

今までと全然、違うアプローチがディープラーニング(深層学習)です。

脳の神経細胞(ニューラル)をモデル化したものがニューラルネットワークで、これを多層化したものがディープラーニング(深層学習)です。データを入力すると、データが最初の層から次の層へ伝わっていく間に各層で学習が繰り返され、重要な特徴(変数)を教えなくても自動で発見していきます。それで深層学習と呼ばれています。

Googleが開発したグーグル・ブレインに1週間にわたりYouTubeビデオを見せ続けたところ、「猫」にはどんな特徴があるのかコンピュータに教えたわけではないのに、猫がどういうものかをYouTubeビデオから認識しました。

例えば、最初の層では”耳がとがっている”、”口がある”などアバウトな特徴を見つけ出し、次の層が”耳がとがっていても、これはちょっと違う(例えば犬とか)”など、どんどん特徴を分けていって、最後はこういった顔が猫じゃないかと識別します。

アルファ碁がプロ棋士に勝ちましたが、このディープラーニング(深層学習)が使われています。まずプロの3000万種類の打ち手をアルファ碁に見せて学習させます。これで、対戦する人間の動きを57%の確率で予測できるようになりました。その後、アルファ碁は自己対戦を数百万回繰り返し、勝ち負けの経験をさせていきます。これで勝ち方を身につけていきます。最終的に人間の直感にちかい感覚をもつことができ、プロ棋士に勝つことができました。

テクノロジー失業時代に備えよう

生産ラインがオートメーション化されたようにテクノロジー失業時代に備えよう

生産ラインがオートメーション化されたようにテクノロジー失業時代に備えよう

IBMが開発した人工知能ワトソンはアメリカのクイズ番組で優勝しましたが、意識がない人工知能です。Googleのグーグル・ブレインにも意識がありません。人工知能が知性を獲得するには、まだしばらく時間がかかりそうですがグーグルが人工知能のソースを公開しましたので、意外に早いかもしれません。

人工知能に知識があろうとなかろうと、これからはテクノロジー失業時代が到来します。工場の生産ラインに産業ロボットが導入されオートメーション化されました。工員の数は減り、現有メンバーも生産現場から生産ラインの監視や品質管理などへシフトしています。これと同じようなことが人工知能で起きます。

車の完全自動走行に向けた国家戦略特区プロジェクトが動き始めていますが、公共交通機関がなく高齢化が進んでいる田舎では自動運転が切実な問題になりつつあります。ブレーキとアクセルを踏み間違えて店につっこんだという高齢ドライバーのニュースがよく報道されますが、バスも電車もない田舎では車に乗らざるをえません。こうなれば完全自動走行の車の方が高齢ドライバーよりも安全ということなります。鉱山などでは自動運転のトラックがあたりまえに走っている時代なので一般公道でもちかく実現するでしょう。タクシーやバス、トラック運転手、自動車保険などに影響してきます。

人に代わって判断するインテリジェンス・アシスタンスの登場も期待されています。三井住友銀行がIBMの人工知能ワトソンをコールセンターに導入を始めており、コールセンターへ電話をするとコンピュータが相手をする時代にまもなくなりそうで、まさにチューリングテストの世界です。

テクノロジーの発達による失業とならないよう、今やっている自分の仕事が人工知能に置き換わることはないか、ぜひ考えてみてください。

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