同居する祖父母を気遣い、親世帯のサポートを積極的に行う孫世代
二世帯住宅における孫と祖父母との関わりは、祖父母による子育て協力だけではありません。二世帯住宅で育った孫が、同居の祖父母に対して行っていた手伝いのうち、最も多かったのは「話し相手になる」、次いで「荷物を運ぶ」「様子を見に行く」など、祖父母を気遣う様子が伺えます。
こうしてみると、二世帯住宅では、孫は祖父母を日頃から気遣い、日常的に何らかの手伝いをしていたことが分かります。
実は、日常的に行われる「話し相手になる」「荷物を運ぶ」「様子を見に行く」といったことは、介護の際に求められる要件でもあります。介護時に求められるこれらのことを日常的にこなしている二世帯住宅の孫は、祖父母に介護が必要になった場合でも、自然と活躍している様子がわかりました。
厳しくも優しい、祖父母との同居生活エピソード
孫と祖父母との関わりは、調査の中に記されている同居生活のエピソードにもあらわれています。二世帯同居で育ち、“大人になった孫”の皆さんから寄せられた祖父母とのエピソードからは、二世帯同居生活の一端を垣間見ることができます。以下にその一部をご紹介しましょう。- 異なる生活習慣を一つ屋根の下で学べた。祖父母世代と接することに抵抗なく育った。(20代女性)
- 親は厳しかったが、祖父母は優しく接してくれることが多く、バランスがとれていたように思う。(30代男性)
- 小さい頃から上の人と接し、学生の時のマナー等、役にたった。(40代女性)
- 祖父とのケンカ等色々な出来事があったが、最終的に自分のためになったので、とても感謝している。(20代男性)
- (祖父母と)最期まで一緒にいられた。離れて暮らしていたら、年に数回しか会うことができないので良かった。(40代女性)
優しいばかりではなく、ときには厳しい面もあった祖父母との交流は、孫が成長していく上でさまざまな影響を与えている状況がエピソードから浮かび上がってきます。そして、親と祖父母、異なる生活習慣を一つ屋根の下で日常的に学び、祖父母からも影響を受けながら育った孫たちが、二世帯住宅での祖父母との同居生活を振り返ってよかったと評価していることが伝わってきます。
二世帯同居によって日常的に祖父母と交流することで、幅広い知識が身につき、気遣いのできる大人に成長できたと振り返る孫が多くみられました
二世帯住宅は、子世帯の共働きが増えた現代において、祖父母による日常的な子育て協力という短期的な実利だけでなく、そこで育ち、“大人になった孫”たちからも高く評価されています。
祖父母と孫が共に暮らすことは、長期的視点でみても、孫によい影響を及ぼしているといえるのではないでしょうか。
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