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田村一行『おじょう藤九郎さま』インタビュー!(2ページ目)

大駱駝艦の拠点・壺中天(こちゅうてん)で、この冬上演を迎える田村一行振付『おじょう藤九郎さま』。青森県八戸地方の民俗芸能「えんぶり」を題材に10月に八戸市南郷文化ホールで上演し、好評を博した話題作が待望の東京初演を果たします。ここでは、開幕に先駆け田村さんにインタビュー! 作品の成り立ちとその想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド


現地の方から直接「えんぶり」を教わったそうですね。

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八戸でのえんぶり稽古

田村>踊りを習い始めたのは今年の春。「えんぶり」にもいろいろな組があるんですけど、僕らは島守地区というところの「荒谷えんぶり組」の方々にお世話になりました。親方をはじめ、多くが農家の方で、親子で参加している方も沢山いる。実際子供が踊る演目があって、“これを習いたいです”とお願いしたら、自分の娘さんたちを連れて来て踊らせてみせてくれたり……。

50年くらい前に録音された音源を聴かせてもらったとき、組の方が“コレ唄ってるの、僕の爺ちゃんの爺ちゃんなんですよ”と言う。昔の唄が残っていて、それを聴くと爺ちゃんを思い出す。そこには、まだ見ぬ孫たちへ豊かな土地を残したいという祈りが込められてる。この音源は、今回の作品の中でも使わせてもらっています。時空が留まっていて、想いが着実に受け継がれてる。それこそ伝統であり、土地に根ざしたものの素晴らしさなんだなって感じました。

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「又」(2014 ) 
(C)山本尚明

逆に言えば、そこへ部外者が入って行って、簡単に大切な伝統を教わっていいものだろうかとも思いました。ですので、作品では「えんぶり」に対してできるだけの敬意を表さなければ、という気持ちが出てきました。同じ動作を繰り返す動きが多く、洗練された奥深さがある。それは代々受け継がれてきた歴史や時間の重みであって、僕もきちんと背負わなければと身が引き締まりました。

組の方に烏帽子を被らせていただいたんですが、それもまず通常だったらありえないことらしいです。烏帽子自体が神様で、練習を始める前に“今から被らせていただきます”と烏帽子にお辞儀をして、終わったらまたお辞儀をするというように礼を尽くす。神様として扱っているものを、部外者の僕らに被らせてくださったんです。しかも普通女性は被らないそうなんですが、女性メンバーにも被らせてくださったり。実際に被ってみると、物理的な重量にも驚かされました。たくさんの人の思いがずっしりと伝わってくるようで、とてもありがたく貴重な体験でした。

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「血」(2008) (C)松田純一



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