食と健康/旬・季節の食事の食べ方・レシピ

梅仕事の季節到来! 梅の有効成分を引き出すコツは?

6月は梅が出回る季節。古くから梅は、手当法や兵糧等に使われ、その薬効を活用されてきました。近年明らかにされてきた梅の機能性や、有効成分を生かす使い方等をご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

特徴的な酸味は、有機酸

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梅干しや梅酒、梅ジュース等、梅仕事を楽しむ季節。

梅は、薬膳では食品の毒、余分な水、古い血の三毒を絶つ薬効があると考えられています。暮らしの中で、「梅は、その日の難逃れ」という言い伝えがあり、朝食等に梅干しが添えられてきたのも、経験的に食あたりや腹痛や風邪などの手当に役立てたことからでしょう。

和歌山県等を筆頭に梅の生産地では、積極的にその機能性について研究が重ねられています。

梅の注目される成分としては、まず果実中にクエン酸やリンゴ酸等の有機酸を豊富に含んでいることが上げられます。有機酸は4~6%で、未熟果にはリンゴ酸が多いのですが、熟すにつれてクエン酸が大部分を占めるようになります。

こうしたクエン酸などの酸味が唾液など消化酵素の分泌を促して食欲を増進させる、また吸収率の低いカルシウムや鉄の吸収を促すなどの働きがあると考えられています。

梅の疲労回復に役立つのはクエン酸によるものと話題に上ることがありますが、「健康食品の有効性・安全性」(国立健康・栄養研究所)では、クエン酸の疲労回復効果はヒトでの有効性については十分なデータはないとしています。

疲労については、近年活性酸素によるダメージが要因と考えられており、抗酸化成分を摂取することも回復に役立つという考え方がありますので、梅に含まれるポリフェノール類などが役立っているのかもしれません。和歌山県などでは、疲労に対する効果についても研究が産官学で取り組まれて、今後のヒトレベルでの成果が注目されます。

近年注目される有効成分

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梅は、一日の難逃れ。古くから手当法などで利用されてきました。

梅にはポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化成分が含まれ、他の果物や野菜と比較しても、ウメはトップクラスの抗酸化活性があることがわかりました。

果樹試験研究推進協議会その他の報告などによりますと、例えば、ウメ果実の抽出物に含まれるクロロゲン酸の一種が、血管収縮性作用のあるアンジオテンシン変換酵素の働きを調整し血圧の上昇や動脈硬化の発生を抑制する作用があると見られています。

また梅リグニンとも呼ばれるいくつかのポリフェノールがあり、ピロリ菌に対する抑制作用や、食中毒菌である「黄色ブドウ球菌」や「病原性大腸菌」の増殖抑制する作用などが見いだされています。

その他の有効成分として、生の果肉などには含まれませんが、梅肉エキスを製造する加熱過程で、5-ヒドロキシメチルフルフラールとクエン酸が結合しムメフラールができます。ムメフラールは、血小板凝集抑制作用と赤血球変形作用があり血流改善や血栓予防に役立つのではないかと考えられています。

他にも血糖値の上昇を抑える成分等、古くから言い伝えられてきた梅の薬効を裏付ける成分の研究が進められています。

こうした研究報告もまだまだ動物実験レベルのものが多く、ヒトでの有効性についてはまだ十分確立されていませんし、機能性のある成分が何であるか、また梅干しや梅酒などの食品として摂った場合には、どれほどの効果があるかなどはまだ明確ではありません。

健康への有効成分が含まれているとはいえ、梅干や梅酒ばかりを偏って食べても健康を損なってしまいますから、様々な食品とバランスよく食べることが基本で、その上でうまく活用するようにしましょう。

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