セクシュアルマイノリティ・同性愛/映画・ブックレビュー

秋のゲイ映画特集2013(3ページ目)

芸術の秋にふさわしく、今月はセクシュアルマイノリティを主人公とした、またはセクシュアリティをテーマとした映画がいろいろ上映される機会があります。お友達や彼氏といっしょにぜひ、映画館や映画祭に足を運んでみてはいかがでしょうか? 今回は秋のゲイ映画特集です。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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わたしはロランス  

わたしはロランス

 

スゴい映画が出てきたぞ……と思いました。まずその映像表現と音楽の鮮烈さにヤラれました。トランスジェンダーのことを扱いながら、悲劇的な作品やドキュメンタリーとは真反対に、ロランスをパンクな音楽とともに颯爽と登場させるなど、斬新でカッコいい描き方となっています。

彼氏のロランスが実は女性として生きたいと願うトランスジェンダーだった……戸惑いながらも恋人を愛しつづけようとするフレッド。愛しているがゆえに傷つき、葛藤する二人。しかし、実は二人が傷ついているのは、社会のトランスジェンダーへの偏見ゆえです(ロランスは職を失い、そこから二人の関係が崩れていきます。そしてフレッドが最も激しく感情を高ぶらせるのは、二人でランチを食べていて初老のウェイトレスに無神経な言葉を浴びせられた時です)。それでいて、社会の不条理を告発する!みたいなテイストではなく、あくまでもスタイリッシュに二人の関係にフォーカスしています。 

監督のグザヴィエ・ドランはカナダ出身で、弱冠20歳のときにデビュー作『マイ・マザー/青春の傷口』がカンヌ国際映画祭の監督週間で上映され、神童と謳われました。第2作『Les amours imaginaires』、第3作『わたしはロランス』も同様にカンヌに招待されています。そして、グザヴィエ・ドランはオープンリー・ゲイの方です(スペインのペドロ・アルモドバル、フランスのフランソワ・オゾン、イギリスのスティーブン・ダルドリー、ポルトガルのジョアン・ペドロ・ロドリゲスに続くゲイ・シネアストと言えるのではないでしょうか。今後も楽しみです)。

『わたしはロランス』は、10月には東京だけでなく全国的に上映されるようになりますので、お近くで上映の機会がある方はぜひ、ご覧ください(公式サイトの劇場情報に全国の上映スケジュールが掲載されています)

わたしはロランス
2012年/カナダ/監督:グザヴィエ・ドラン/出演:メルヴィル・プポー、スザンヌ・クレマン、ナタリー・バイ/配給:アップリンク/2013年秋、新宿シネマカリテほか全国順次公開
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